| 新人養成合宿Top 北八ヶ岳地形図.山行表 新人養成合宿.北八W 今年は少ない残雪 硫黄火口壁,オーレン小屋へ . |
北八ヶ岳.新人養成合宿W s43年(1968年)05月16〜19日 上槻ノ木コース.L赤嶺成一郎(3).sL斎藤吉男(2).m飯田哲夫.松本雅夫(1).松村進(4). 新人養成合宿 昨年度同様北八ヶ岳において.男子2コース.4パーティ,女子は1コース,2パーティによって行われた。 北八ヶ岳は「森と湖の北八ッ」の名にように新緑の森.それに囲まれた鏡の様に静かな小さな湖を持ち, 新人部員には最初の山として強い印象を与えてくれる事だろう。 今年は予想通り昨年以上の雪があり.また体調の悪い者もあってペースはあまり良くなかった。 初日.男子パーティは予定を変更し全員がオーレン小屋に集合.2日目は統一行動となった。 また集中地「双子池」に全員が揃ったのは予定時間をかなり過ぎてからであった。 最終日,雨の中を男子は蓼科山を越えて.女子は大河原峠から.それぞれ親湯へと下った。 豊富な残雪.そして雨と合宿の目的を達成する為の新人養成としては申し分ないものだった。 だが予想以上に時間を費やしてしまった事など.計画の甘さを反省する点もあった。 更に新人から脱落者が出るなど.決して満足できる合宿ではなかった。 赤嶺成一郎 私が新人養成合宿を北八ヶ岳に選んでから早くも2年の月日が流れた。 その間,後輩もこの山域を選び.今日に至っている。山域変更の切っ掛けは森林開発にあった。 しかし,それは別として穏やかな起伏に包まれた森林は湖を生み.北八の森はその情緒を注られる。 参加者 鈴木輝雄(経4).松村進.和田一男.大川崇夫(法4).松本弘美(文4). 工藤具明(法3).赤嶺成一郎.高橋雅之.水頭芳三.三田誠一.高畑邦雄(経3).関美枝子.池田千鶴子(文3). 西沢隆雄(文2).富田幸男.斎藤吉男(経2).中川保.新崎啓一.関根利章(法2).桧垣いく子(社2). 沼津久美子.古田和佳子.平田恵子.豊永真琴(文2). 鈴木茂.日比谷.松本雅夫.太田.佐藤.久米(経1).飯田哲夫(法1).中沢康(社1).中西久美子(理1). 遠藤美子.杉山.島田良子.松永育子(文1). 天狗岳一中山一丸山一茶臼岳一縞枯山一横岳一蓼科山 5月16日.新宿23:45= 新人風景 相変わらずこの合宿は列車待ちが長い。私は遅くその中に飛び込んだ。 仲間が占領しているホームはかなりのペースで荷が散らばっている。 新人初めての養成山行で例年どうり.ホームで最後の点検を行っている。 団体.個人装備を広げ.再び上級生の指図によって.パッキングを行っている。 まだ新しい衣類の横に.黒ずんだ煤だらけの凹んだナベがありヤカンがあった。 隣の一年生は一生懸命タッシュを開け閉めしていた。 漸く終わったと思うも忘れ物が現れ.又詰めたばかりの荷を全部を出し丁寧に入れ直している。 この風景は毎年の事であるが.心の準備には一番良いようだ。 |
硫黄岳を背に |
5月17日,快晴 5:45茅野:55=上槻ノ木6:25一7:05朝食:30一8:23小:35一9:25小:40一10:43昼食11:15 一12:30小:45一14:05オーレン小屋テ1. 陽炎の径 入山日.今日の登りはデレデレ長い。 暑い陽射しは陰を我々に与えず.陽炎が音を立てるよう濛々と立ち上がる。 古ススキに乗った風が.むかむかする風を呼び.馬鹿陽気に腹が立ち眩みそうに強い。 背後の霧ヶ峰の起伏が印象的に強く瞼を揺さぶらす。 快い眺めがあるがこの馬鹿陽気。動かずも汗の滴る陽射しになった。 樹林帯に径が綴られ.陽を隠すようなると流れる風は気持がよかった。 漸く現れた残雪に心は踊り.靴底に触れる雪の感触が足より体全体に伝わてくる。 5月18日.晴後雨. 男子4パーティ,以後同一行動. オーレン小屋Ts5:40一6:50小7:00一7:50天狗岳8:18一9:16中山峠:30一10:44高見石11:30 一12:13麦草峠:35一15:20双子池テ2. 根石岳への山稜.白砂と残雪![]() 天狗岳より南八.本峰を望む.赤岳と阿弥陀岳 南本峰を背に夏沢峠より蓼科,鳴岩川沿いに少し下るとオーレン小屋にでる。 春の暖かい大地に体を寄せ2年.3年の指導する設営を見守る。 ![]() 5月19日.小雨後曇 双子池Ts7:30一8:50大河原ヒュッテ9:20一10:30将軍平11:30 一14:10親湯.プール平16:03=16:32茅野17:05=20:35新宿. 下山 |
今年は昨年以上の残雪があり.また体調を崩した者もをり.全体のペースはあまり上がらなかった。 初日にして男子パーティは予定を変更.全員がオーレン小屋に集合.翌日より同一行動を取る。 北八の径.豊富な残雪と雨に叩かれる。 集中地.双子池に全員が揃も.予定より大分遅い集中となった。 又,田沼が雨池より途中参加。4年生全員が双子池に揃う。 最終日は昨年同様.雨の中.男子は蓼科山越え.女子は大河原峠から親湯へと下山した。 新人養成感想文 飯田哲夫 山に登ること,山におけるキャンプ生活,その他全てが私にとって初めての体験であった。 それだけに,この苦しい合宿を耐えぬいて得たものは目には見えないが,何か非常に有益なものであると思う。 そしてこの思い出は,これから先ずっと山に登る時,あるいはそうでなくとも人生や社会に出てからの苦しいこと, 哀しいことに直面した時,などに思い出され役立つかもしれない。 これから書く文章は合宿中に一番苦しかった上槻ノ木からオーレン小屋までの行程を書いたものである。 感想文とはいささか異なるが行動中のことを書きしるしたので,実感がこもっていると思う。 その日の朝はあいにくの曇で,朝の日を期待していた私にとっては,残念であった。 上槻ノ木でバスを降り,夜行の疲れで眠れない目をこすり,こすり体操をする。そしてポリタンに水を入れリーダーの訓示を受け出発する。 上槻ノ木からはしばらく平らで道幅の広い良い道であった。 道には春を満喫して草がのびのびととはえ,河はゴミで汚れた東京の河と違った清く澄んだ水が音を立てて流れている。 そしてそれぞれからは肩にくいこむキスリングやグロテスクなはき慣れない靴に,苦しむ自分を,あたかも慰めているようであった。 朝は曇っていたが,昼近くなって晴れて,日が照ってくると,キスリングの重さ,石のゴロゴロした歩き難い山道, それに日差しが疲労を一層早める。無償に水が飲みたくなる。 「止まるな,歩け,走れ,」の大きな怒鳴り声が耳の中を通る。自分では走ろうとするが体がスムーズにはいかない。 まるで牛や馬と同様である。それでも掛け声が耳の中に入ってくる。 水を相当飲んだせいか,汗がひどく出て,それが目にしみて,涙が出そうになる。 歩いているうちに,どうしてこんなクラブに入ってしまったのだろうか,どうしてわざわざこんなに苦しんでいるのだろうか, 何を得られるのだろうか,こんな疑問を何度も自分に繰り返し問うだが,その解答はでてこなかった。 全くこんなことをしている自分が馬鹿か気違いのように思えてくる。道はますます急になり,疲労は一層激しくなる。 夏沢鉱泉を過ぎてからは,もうただ盲目的に歩くだけであった。 2時間程歩いただろうか,トップのsLの「オーレン小屋だぞ。」という声に自分は何か底知れぬ歓びが湧いてくるのを覚えた。 そしてその歓びのせいであろうか,最後の「ダッシュ!」という声に,最後の力を振り絞って走ることが出来た。 そして苦しみを恋えて,自分でここまで来たという実感がこもってきて,それが快感と変わっていった。 「落葉松」40号より 山の経歴.経過Top |