残雪の燕,常念,涸沢へ
             好天に恵まれる
             夜間,頂稜登山と尻セード

雪上訓練と燕岳  ,
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残雪の燕岳から常念岳,涸沢へ
                 43年06月04〜09日, L松村sL斎藤m西沢,中沢,見城,

    6月05日,     新宿23:00=
        6日,快晴, 5:02松本:27=5:57有明6:30=7:25中房:40一8:50第二ベンチ9:10
                一10:35(2550m):40一13:20燕山荘一13:30c1,

      再び
   3年前燕へ企画山行で通ったコースだが,今回も好天に恵まれた。
     雲一片ない蒼空が僕等の入山を祝し,蒸すような急登に第一歩を踏み込んだ。
   ブナの巨木茂る林径,汗が垂れ,面白い程高度が上がる。
     もう中房の河原が銀蛇の尾を引いてキラキラ輝き,
     河原に点在する赤い屋根も胡麻のような大きさになっている。

   第二ベンチ,ブナの原生林を抜け,急に蒼空が開けた。
     大天井,蝶へと続く山脈が,真白い冠に雪庇を連れね,眺める展望に素晴らしい大パノラマが展開した。
   合戦小屋付近雪多し,
     広い尾根は狭まり,右手に奇岩懐石を形作る花崗岩の山稜,燕も見え出した。

   一年中沢君は疲労気味,夜行疲れで軽い熱射病に掛かつているようだ。
     頂間近,あと一息の頑張りでアルプスの壮大な姿が現れる。

       雪上訓練,テント脇、15:00〜:50,
       C1,18:45⇔燕岳一19:30,

   テント設営後,二年生が中沢君に雪上訓練を端の残雪を利用して教えている。
     主に雪上歩行を行い,後はそれぞれ気ままに楽しんでいる。

   乾いた岩蔭に身を託し,密かにトカセゲする見城さん。
     そして漫画に熱中している斎藤。西沢は中沢君と夕飯の為,水造りに精を出している。


   黄昏の蛙岩

 



     燕岳

  日没、帳が完全に包まれる前,
    落陽の残光が,まだ頂稜を薄すらオレンジ色に染めている。
    僕等はカメラを手に雷鳥を追い,気の向く間々,燕へ向かって歩き出す。

   両手をポケットに突っ込んで,裸足が靴の中で踊っている。
     花崗岩峰の頂はスポットライトを浴びたように,浮き上っていた。
     谷には夕陽が迫り,東の空には星が現れ出した。

   アーベンロードに飾られ今,最後の厳粛な儀式を終えようとしている。
     富山の雲海に身を落とした陽は,もう幾らか明るさを留めているだけだった。
   後,5分か,10分のこの頂も,闇になる。
     僕は限りない自然の神秘を見,手に入れたような気持を掴み取っていた。

     40年07月, 燕から水俣乗越を下り,槍へ。

常念乗越ヘ  ,
    6月0日,快晴, 燕岳一大天井岳一常念岳,

       起床4:30,
          Ts6:40一7:05ゲイロ岩:25一7:40大天井,手前鞍部9:05一10:15大天井岳11:15
            一12:03横通岳手前13:00一13:59常念乗越(仮c2),
      パノラマ
   のどかなパノラマ縦走。花崗岩砂の表銀は,殆どと云って良い程,残雪はない。
     向かい鋼鉄の鎌を剥き出しにした北鎌が,右手,高瀬からそそり立っている。
     鎌を築く独票,鋭い穂先の大槍、黒い岩壁に天丈沢の雪渓が興味深い。

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   残雪は大天井の登りと常念乗越を挟むよう現れた。そして大天井の小屋は埋まっている。
     スナップ,遠方写真,食事,日向ぼっこと1本,1本の休みにゆとりがあり,
     槍穂の絶景が白稜に纏められ,頬を撫でるそよ風が快い。

   キャンプサイド、中沢君の誕生祝賀会を催す。
     「滝谷,北尾根・・・」と友を偲ぶ唄が連発した。
   
   常念岳
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     月夜の縦走

        常念乗越c18:15一19:35常念岳c2,

  夜,月が余りにも明るかった。
    テントを出ると満月,真近の月が,ここ頂稜の大地を照らし,足元を照らしている。
    昼間のような月光は、エレキも必要とせず,全てを照らし仲間の顔をも照らし出す。

      幻の穂高
   風もなく,静寂に満ち神秘の領域が幻想的に思えた。
     穂高連峰の山蔭は,深い谷の闇から岳々を浮かび出し,白光の世界に包まれている。
   昼間,見た絶景が,暗黒の裾から山襞を墨で塗り潰し,灰色の一線を越し,月光だけの峰々を現している。
     岳白き冷たい漂いが,突き出していた。

   僕はこの間々,寝てしまうのに迷った。そして決断した。
     一時間でも歩こうと。天幕轍収。個人山行ではの行動にでる。

      闇に酔う
   私も夜の撤収は初めての行動だった。一寸の迷いもなかった。それは仲間も外を見て,無言で伝わった。
     急の決断が行動を早ぶらせた。月光を浴び常念に登る。

   無謀に見えるが,頬に触れる微風が快い。
     広い背稜は月光に照らされ,エレキも必要としない明るさを持っていた。
   誕生日祝いを終えたばかりの一年,中沢君は,何事かと動き回っていたが,外に出て歓喜を揚げた。
     自然の神秘に自分達も包まれている。

   残雪を踏み,穂高を眺め言葉少なく歩んだ。
     幻ろな頂稜の世界, その扉を我々に開いていた。
         
 蝶より槍,穂高,目指す涸沢へ  ,


     6月07日,快晴, 常念岳一黒沢一横尾,

       常念岳7:25一8:13(2572m):23一10:30蝶ヶ岳11:25
         一12:30(黒沢,水に出る):40一13:40横尾c3,

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      常念岳
   眩いばかりの陽指しを受け,テントから起き出すと目の前に穂高の峰々が広がっている。
     残雪に被われた槍も,穂先のみ黒い岩峰を覗かしていた。

   そして幕営地,頂の雪渓が谷へ落ち込んでいた。
     早速,朝食,パッキングと何時ものルールが始まった。

   凸凹の樹林帯は残雪で埋まり,強い陽差しに汗が湧き上がる。体中から塩が噴出した。
     風もなく,むうむうする場所,ザックは背にピッタリ吸い付き,背を濡らす。眼には汗が沁み込んでいた。
     一本,暑さでバテ気味,うまい所に雪解け水が流れていた。

   以外と長い蝶へのアプローチ。
     岩の推積したガラガラの高原平坦地,蝶ののっぺらな頂が足元に広がっている。

   ここは槍穂の展望には絶好で,涸沢のカールが眼に入る。
     改めて見ていると,涸沢カールは以外と高度を持っていた。
     明日は,あの高さまで涸沢へ入る。仲間の目は皆,その雪の大国を見詰めていた。
 
  横尾,休息の一時

 


    黒沢下降

 蝶ヶ岳南面窪地より直接,沢へ。
   横尾へは直接,梓川に落ち込む黒沢に入り込む。

 ガラ山から這松へ。
   残り少ない雪渓を求め々々,尻セードでブッシュの中,滑り落ちた。
   残雪を求め,切れれば藪を漕ぐ。そして又,残雪に飛び込み梓川へ直接下りた。

   傾斜は以外にある。雪がなければ,真っ直ぐ落ちろとキスリングを躍らせた。
     オーバーズボンにキスリング,鉄玉となり強引に下降する。
     そして横尾の幕営地へ駈け込んだ。

まだ雪多い涸沢  ,
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    6月08日,晴後雷雨,
                 横尾⇔涸沢一北尾根X峰,

       Ts7:00⇔9:00池ノ平10:35一11:00(北尾根,W,Xのコル出合):25一12:05(X,Yのコル):55
         一13:05Y峰;25一14:02池ノ平14:10,一15:25横尾c4,

  前穂北尾根X,YのコルからY峰
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   前穂北尾根へ

 3日間の快晴が今日も良くしている。
   ゆっくり朝食後,涸沢ピストンする。

 夏径に沿て屏風を過ぎる。
   屏風の大岩壁に陽は閉ざされ,若葉に映る新緑は沢瀬を被っている。

   深仏清澄の漂い,その反面,樹葉の間に写る北穂の側壁は,明るい陽差しに照らされていた。
     雪渓末端,横尾沢が右から入り込む。
     
X,Yのコルへ  ,
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       北尾根Y峰

   涸沢カールは,随分奥深い,
     覗む峰々は顎の痛さも忘れる程の威容に満ち,大雪渓は眩い白光を放している。
     そして頂稜は雲片が飛び通っている。

   ヒュッテのベンチで軽い昼食後,前穂北尾根X,Yのコルに向かった。
     吊尾根に大きな雄大積雲が伸び膨らみを出した。
     僕は汗を流し,息を弾ませながら涸沢の雪面を切る。

   小人のような僕等。計り知れない山の包合。そして白き蒼き空。
     僕等は,全てが今,この雪と岩の大国へ駈け込んでいた。

   涸沢までの散歩が,峰に立ちたくなり,北尾根の斜面に向かう。
     快いステップに皆,弾んでいた。雪の多いせいもあが,自らのステップに酔っているようだ。
     コルに出れば上高地も覗めるだろう。

  X,Yのコルより奥穂, 中沢,西沢,見城,各氏と私,
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     X,Yのコル
  涸沢カールの雪原を下に仰ぎ,穂高の峰々が谷を構えている。
    見渡す限りの雪と岩、見る限り人も居ず,独占した岳が目の前にある。

  コルからのトレースが池ノ平まで,真っ直ぐ落ちている。
    大きな岳,自ら築いた初めてのトレースに中沢君の瞳は踊っている。
    自ら大斜面を切り,登り詰めたコル。

   コルに居る仲間達、予定外の行動に頂に立ったような軽やかさと,岳の大きなを噛み締めていた。
     岳の峰々は,まだ高いが,カールの底が蟻地獄の如き白く見える。

   重いザラメに尻セード,恐怖心はない。はしゃぐ先輩に後輩が居る。
     雷鳥と競争し雨と争って横尾へ降りた。

     42年07月, 涸沢BC,北尾根,滝谷,
     45年07月, 岳沢,明神主峰,
     45年10月, 横尾谷本谷〜槍,
     46年06月, 横尾生活,

                                               山径,燕岳〜涸沢U
                                               山径