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谷川岳マチガ沢東南稜



42年以降は条例で登山届提出

石灰岩でハーケン抜ける
         
深まる土合駅 .
             秋の谷川岳マチガ沢東南稜・・s41年(1966年)10月16〜17日. m松村進.三浦俊彦

   マチガ沢はトマノ耳より張り出す西黒尾根とオキノ耳から張り出す東尾根の間に流れ.東面の沢では最も明るい谷川岳の入門コース。
     昭和2年7月.大島亮吉氏らにより初登されている。マチガ沢の代表的な登攀対象としては本谷・シンセン沢左俣・東南稜。

   マチガ沢は4年前の高校時代に巌剛新道を綴る筈が.そのままマチガ沢に迷い込み,ザイルで助けられた沢である。
     そこを今回は呆気ないほど楽に越えている。前回を忍びマチガ沢上部の東南稜に挑んでいる。

       土合⇔マチガ沢―オキノ耳東南稜―西黒尾根―土合
   10月16日晴. 上野23:58=
     17日薄曇.4:47土合一5:38出合一7:16マチガ沢ゴルジュ一8:50石室

     



 春のマチガ沢

   谷川岳地形図 湯檜曽川周辺地形図,山行表 上越国境周辺全体地形図

   マチガ沢本谷

      旧道
   土合駅に降りると頭上高くに満点の星が煌いていた。エレキを頼りに夜明け前の旧道を歩む。
     昨年は師走に新雪を踏みしめた径.又高校時に歩んでいた径でもある。
     谷川の裾を巻き湯檜曽川を遡る。瀬々らぎ流れを聞きながらの乾いた旧道は久し振りに踏む裸土の道。思いのほか時間を稼いでいだ。

   マチガ沢出合にでると足元はまだ薄暗い。仰ぐ国境稜線の一角に早くも朝陽が照らし始めていた。
     出合から谷川岳を眺めると右奥の上部にゴツゴツした岩稜が認められた。これが東南稜である。今日.この稜に立つ。

    東尾根シンセン岩峰
   本谷4段の滝付近から右に入り,シンセン沢左俣へ

   マチガ沢中央スラブ

      マチガ沢遡行
   僕等は幾つもの滝を越え,岩の感触を味わいながら快適な岩場を越して行く。
     東南稜正面壁を仰ぎ大滝基部へ.思いのほか早く達していた。

   取り付きは規模も30mあるとは思えなかった。リッジ沿いに何なく越す。
     その上部.4段ノ滝は渇水期でスラブ状の為か.あっけなく越している。
     すると右手にシンセン岩峰が飛び出してきた。

      昔の想い
   4年前の高校2年の時.マチガ沢から西黒尾根へ登るのに巌剛新道で迷い.マチガ沢本流に入り,クライマーに助けてもらったことがある。
     知らずして本谷の谷筋を遡り身動きがとれず.クライマーにザイルで下された場所。
     曇天で薄暗かった。遡る沢というより岩場. 岩に囲まれ凄い沢だと当時の印象は抱いていた。

   同じ場所でも,ほんの少しの経験が全く異なっ感じを抱かせている。
     当時.凄いと思ったクライマーに.今自分を当て嵌めていた。

   谷間は深く.異様に映った剣峡のマチガ沢は天高く蒼空が被いぎ.紅葉に溢れ.明るい乾いた岩肌を照らしてだしていた。



 稜線からの東南稜.     
 
   西黒尾根より東南稜・・六ノ沢側へ入り取付きへ
石室.       ,
        乾いた本谷
     三ノ沢出合から離れジロンデルに入らず.その間々ゴルジュに入る。
       15m程の滝は左岸寄りにプッシュ.ホールドを用いている。

     第1ブロックの終わりにある15mの滝は5m程右手寄りに.
       後の5mは中央を.終わりはハングで左壁が苔の為,10m地点から左に回り込む。

     沢の上部は既にガスが掛かり始めている。
       第2ブロック.25mの滝は傾斜も緩く5mを直登し.7mのチョクストーン滝は右を越える。

     第3ブロックは問題なく終わってしまった。
       東南稜基部の草付きテラスへは.出合より一息に登ってきた。左上の石室で大休止する。

    マチガ沢東南稜
  

東南稜

  石室9:45一10:18第一テラス一11:08第二テラス一11:21ハング気味
  一11:32正面壁横12:00一12:08オキノ耳:19一12:27トマノ耳.









ルート図

  東南稜,取付きカンテ.     ,


     基部テラスより第1テラスへ 

      東南稜
   ガスが湧き出す中.彼とアンザイレンする。
     息揚々した気持を押え.未知への緊張を抱いてた。机上では楽な登攀の筈だ。心も弾んでている。

   基部テラスより第1テラスまでは1ピッチ20m.
     テラスよりチムニー状のルンゼを見上げる。楽過ぎる登攀に大まかな岩越しにスラブにでる。

   リスが走り程好く抜けた。その上部はハーケンがかなり連打たれて折.その1本を使い新たに1本打ち第Tテラスに達する。
     ここがルートの核心部の筈だが簡単過ぎていた。

   第1テラスより第2テラス25m.
     ホールドは豊富だがぬるぬるしている為.第1ピッチよりバランス・クライミングが必要だと思われる。
     ハング気味のクラックで錆びたハーケンに掴まり,三浦は30分も動けなくなる。

   右上に抜けられたようだが真上に抜けるのに.リスにはハーケンが幾つも連打されていた。
     新たに1本打ちカラビナを掛けて息を整えている。
     後はザイルに気を付けハーケンをホールド換わりにした。

   ぬるぬるした岩場は右へ移動すれば,その上部は狭い為,バックアンドニーでずり上がる。
     足を胸まで上げた曲芸はセーターに泥を付かせた。きわどいバランスで斜めにトラバースしテラスに立っている。

   余りにも狭く手が縮み過ぎ,苦労させられたが立ってほっと深呼吸した。
     核心の後が苦しかった。ハーケン2本紛失,

   第3ピッチ30mは第3テラスからで,岩よりむしろ土階段状になっており,殆ど3点確保を必要とせず。
     リッジ沿い第3テラスからハング気味の所は体を外に出す程もなく,壁をトラバース気味に横切っている。

   第4ピッチはザイルを40m,一杯に伸ばし,階段状の岩場を登り正面壁真横でザイルを解く。
     後は問題なく小さなギャップを越えると草付きになりオキノ耳にでた。


   気を引き締める場所もなく.後から思い返せば今までで一番楽な山行になっている。
     終えたと言う満足感はあるものの.描いていた登攀の包容力は薄らいでいた。

   短い間だが重ねる山行が経験を積み上げたかも知れない。それでも谷川岳の登攀は嬉しかった。
     谷川岳.初めての登攀に気は踊っていた。

   我々の登攀中.他に2パーティが入ったが.最後のパーティは西黒尾根をかなり下り.振り向いた時,まだ第2ピッチあたりだった。
     順番を待つ登攀を見たのは.今思えば初めてだった。
     僕等はもう枯葉踏む樹林帯に入いり掛けている。黄葉滲む里への径へ。

     第Tピッチ.チムニー状ルンゼ出口はホールドが乏しいが細かいものがある。
     第2ピッチ.第1ピッチに似た悪い感じで.更にホールドは乏しい。ハーケン2,ビナ4.難場は2P目


    第2テラスより1ピッチ

    第3ピッチ右壁,ハング気味

    第4ピッチ

      反省
   冬期八ヶ岳,天狗尾根を田沼.三浦と僕の三人で登攀する為
     下準備として東南稜を選び.ザイルワークを身に付ける筈だったが.田沼の欠席でやむなく2人で入山した。

   ザイル40m,2人では余りにも長過ぎた。アンザイレンは特に必要な所を除き30mで充分.却って邪魔になる。
     ハーケンは8本(縦4.横4)で十分だがピッチ2で2本落としている。やはり多めに持つ行くと同時に.慎重に打たねばならない。

   カラビナ4個は余りにも少な過ぎた。フルに使っても最小限で.
     これこそ特にバランスクライムが必要な所では.必要以上に考えておかねばならないもの。

   カラビナにザイルを通す時.ピッチ2で逆に掛け,難ともない所で苦労させられた。
     ハンマーは経済性の許す限り各人がT個ずつ持つべきで.緊急の場合は心細いばかり。



                正面壁真横.p4を終えザイル解く
      東南稜
   岩質は以外と硬く.聞いていたほど脆くはない。岩自体はよいが一部分のホールド微妙。
     難場は常に濡れているよう思われた。草付き階段状の所は浮石多し。

   東南稜を左手に見ながら.足も軽やかに西黒尾根を下っている。
     樹林帯に入る手前の岩場から望むと最後のパーティはまだ東南稜にヘバリ付いていた。

     12:27トマノ耳一14:13旧道一土合15:17= 上野


     登攀を終え林檎を齧る

   昭和42年に群馬県谷川岳遭難防止条例が施行された。
     途中の谷川岳登山指導センターに立ち寄り.入山確認の(登山届は10日前に出す)又は登山計画書を提出。
     (日山協加盟団体で証明書を交付されたもの)