猪と  ・・鳥獣と昆虫等の世界Top


  2009年09月. 目の前を横切る猪.2頭と猿・・大菩薩嶺北尾根末端近くで

     両手で枝木を掴むと立枯れた幹がボリボリ折れる。時には太さ10cmのものも折れた。ミズナラ.ツガ.ブナの絡み合う樹海はその下枝を両手で.
   掴み掴み登り返していた。その折.15m程先を1頭のイノシシが横切る。一瞬足は留まり体が硬くなる。黒い塊の何かがが横切った。

     イメージ的には堅い塊りの物体だった。初めて目の前近を野生の猪が横切った。動物というより硬いガッしりした物体で足だけはスマートに細い物体が。
   左手の小室川側から泉水谷方面に走り去る。下草が茂り足元はよく臨めなかったが下草をガサガサ揺れ動く。
   私が動かずにいれば樹陰に囲まれ.岩陰にしか思えなかったかも。

     右枝尾根との合流点まで登り返すと左手は幅広い緩やかな斜面にでた。左尾根の中央へ戻るようトラバースし.下るうち踏み跡を見付けている。
   日没後の最終乗合バスに気が掛かり焦り走るよう下る。落葉と倒木が多い.東斜面の帳は早い。深い樹林帯は既に陰り始めていた。
   黄昏だした黒木の尾根は急に闇が近ずいる。小室沢左岸道から林道泉水横手山線に入る。もう林道は山陰に入り.薄暗く黄昏だしていた。

     三条新橋までの道. 直ぐ小室川出合付近で大きなイノシシ1頭が私の目の前を風を切るよう突然横切った。それも私とはスレスレに。
   初めて真近で見たイノシシは今日2度目。それもつい先ほど。足のスマートさと体の締まった凄味のある物体が薄く暗くなった夕暮れの林道を
   左手の高みから谷間へ突進した。再び動けなくなる私.熊の時と同じだった。

     アッと云う間のスピードで丸で弾丸のよう私の横を風を切り横切った。落ちる姿はよく立木にぶつからぬかと.「ことわざ」の如く.
   不思議なストレート過ぎる動きを示し過ぎ去った。何だったのだろうが? が先にでる。

      野猿・・猪が横切ると今度は野猿の家族8匹が私の目前を横切る。先導するがっちりした野猿は私を見詰めているものの.群の中を歩む家族らは
   眼中に私はなく先を急いでいた。子猿は親猿に抱きかかえられている。最後尾の猿はやや遅れて現われた。

     気が緩んだせいか.ちらっと私と目が遭った時は目が鋭く.ぞっとさせられた。一瞬昔.槍ケ岳で晩秋に下る猿群団と遭遇したことを想いだす。
   それから10分程して.今度は反対の谷間から登ってきた大きな親猿が1匹逆側に横切った。

    猪
     猪は犬と同じくらい鼻が非常に敏感で.神経質な動物。繁殖能力が強く.春と秋双方に繁殖期がある。本種を家畜化したのが豚。
   北海道と一部の離島を除き全国的に分布し.ジャンプが得意で狭い隙間に潜り込み.鼻では50kg以上の石を動かせるとか。
   又本来は昼行性で定住期と移動期を繰り返す行動パターンを持ち.気に入った場所では2〜3kuの範囲で行動すると言われている。

     中山間地域では過疎化.高齢化が進行し.耕作放棄や放置竹林等が増加して.これに伴い猪の農作物被害が年々拡大している。
   雌の子供は母親と共に群を作るが雄の子供は1.2歳で母親と判れ.小さな群れを作るか.単独で生活する。寿命は短く最長で10歳以下.
   平均は1歳に満たず死亡することが多いとか。

     又寒くなる地域ほど体が大きく進化すると云うベルクマンの法則によると猪の体系は日本では大.中.小で表すと「大」は長野県。
   「中」は山口県.共にニホンイノシシ.「小」はリイキュウイノシシで西表島とのこと。私が2度見た猪は私の倍もあるような「大」で.猪を家畜化したのが猪豚と豚。


  2012年10月. 鹿とウリ坊・・滝子山南東尾根から北方川右岸尾根を下り天狗山

     踏み跡はないが尾根は無鉄砲に河原に下りられる。河原の右岸には大鹿から延びる県営大鹿林道が繋がっている筈である。
   時間がなければ避難ルートにもなるだろう。

     鹿とウリ坊・・小鳥の囀る声も聞こえぬ静まり返った森で「キィー!,キィー!」と鋭く.私を威嚇する鹿の啼き声を聞く。
   黒木の被う薄暗い森閑とした起伏の緩やかな森を切ると聞こえてきた。前方を見詰めると大鹿が尻を見せ.やや左方へ逃げ去るのが見えた。
   姿を消し.もう一度叫ぶ。その後は元の静けさに戻されている。

     そう云えは先ほど鉄塔前でウリ坊に遇っている。両手で抱ける小ささで.6mほど先で.右手から左へ私の前を2頭のウリ坊が横切った。
   やはり突進してくる大人のイノシシとは異にしている。チョコチョコした速足が又可愛らしい。
   近くに親がいるだろうと心配したが.ウリ坊を見ているだけでも可愛らしく.釘付けさせられている。


  2016年03月. 三頭山御堂指尾根の猪の堀越し穴・・尾根末端から「山のふるさと村」へ

     猪
     尾根筋の緩んだ斜面に猪の大きな掘り起こしがあった。好物のドングリを鼻先であさりながら落葉をひっくり繰り返している。
   ミミズを探していると云う説があるが必ずそうでもないらしい。そもそもミミズを好んで食べるわけではないと云う。

     土の中の昆虫.クズなどの植物の根.越冬中のカエルやヘビなども食べるが.食べると云うより本能的に掘り返すと云う説がある。
   猪は山径や廃道と云った適度に硬くしまった地面を掘り返し.理由がある筈だが原因は掴めていないらしい。
   これだけ日本全国の耕作地で被害がありながら被害対策だけでなく.猪の根本的な研究が進んでいないのが現状のようだ。


  2016年12月. 醍醐川が猟場・・醍醐峠への「道しるべ」手前で

     龍蔵神社から15分ほど先の右後方の坂道が合わさった作業道の取付きにハンターの車が3台駐車していた。
   この処.100kは超す猪が集落に出没し.右岸の山腹に居座っているらしく.作戦を練っている所に出会う。
   先程下流の龍蔵神社付近にも1人の猟師が待機していた。この林道沿いが猪狩りの現場になるらしい。

     関場バス停からの往路を振り返ってみると.醍醐路では集落の狭い庭先に.どの畑でも低い柵で囲み.猪の防御策が取られていた。
   醍醐林道の分岐から戻って来たら「ニニク林道から入山した方が楽だと教えて頂いている。
   ただ私は戻り.冥加沢右岸尾根から盆堀林道に抜け.リゾクナイ沢右岸尾根から弾左衛門ノ峰南尾根に回り込む。

     猟師達は位置が決まり.猟に移ったのだろう。既にいなくなっていた。車は1台が残され.長老一人がケースから銃を取りだしているところだった。
   河原に下りて待ち伏せするらしい。人の往来はないのだろうか?


  2017年01月. イノシシ狩と傷付いた猟犬・・分岐から寺山西尾根の猟場で

     東尾根を下る場合はここは見定めていないと踏み跡が確りし過ぎ.又直下するので登山道から南尾根に入り込む恐れあり.右後方に延びる
   トラバースする登山道を選んでいる。赤テープはあるが分岐の道標類はないので注意。ここにライフルを肩掛けた猟師が鉄塔方面から登ってきた。
   最初の言葉は「山火事があり.昨日入山せず今日でよかった。」と聞かされた。

     この北側の山麓.学校裏で昨日の明け方4時30分頃に出火し.4000平米を焼失して.ヘリコプターによる消火活動が行われた。
   朝方と云うことは焚火? 今朝の地方版に記事が載っていると聞かされた。恐らく北麓では入山の規制が行われていたとのこと。

     本来の目的である猪狩りに就いて尋ねる。山中に入っている猟師は4名。先程.猟犬1頭が猪に引っ掛けられ負傷を負い.猟犬を替えている。
   これからが本番だとのこと。谷間から追いかけ.西尾根上で4名が待ち伏せする作戦らしい。この分岐には彼1人が定位置とし着いたばかり。
   後3名は西尾根で待つ。私の進む方向になる。直ぐ連絡と取るとGPS付きのトランシバーを見せ.連絡をして.今日は猪鍋を囲めると張り切っている。

     寺沢西尾根は落葉松にブナ.檜の原生林にコナラの混ざり合う林層が続いている。気持ち尾根筋が北西に向かう所で2人目の猟師に出会う。
   彼が一番若く50代.追い上げる南面を見つつ笑い顔で迎えられた。ただその後の状況は変わらず.殺気は感じられなかった。

     3人目の猟師からは.ここが中央東線の梁川駅の窪みを上流へ詰めた西尾根に当たる地点と聞く。少し話してよいがと尋ねると頷いた。
   この辺に「天王山」と呼ばれる小さな尖っ突きがある。何処にあるか聞くも地元の猟師も分からなかった。木片に山名が記されていると聞くが。

     又一度下ってから登り返す斧窪御前山東尾根には踏み跡があるか訪ねるも分からなかった。ただ.西尾根は尾根伝いに綴れば回り込み.
   自然と綱之上の集落に入ると教えて頂いた。それだけでも時間の計算ができ.気持ち楽になる。

     日差しが閉ざされると南面からの植林帯の短い尾根頭に入り抜けている。この木陰を利用して茸栽培が行われていた。
   殆ど等間隔に4人が配置されている。最後の猟師が最年長のようだ。無線が入り.猪は逃げてしまったらしい。今日の猟はこれで中止に。
   全員が南尾根を下り.集落に戻ると話してくれた。残念ながら猪鍋は次会に延びることになる。

    井戸端会議
     T字路村道.右角の野口さん邸の庭先では井戸端会議が行われていた。そこに下山した私も加わる。予定より1時間早く.11時に集落に降りている。
   山火事のことは地元なのに丸っきり知らなかったらしい。私が語るのも何か可笑しいが.今朝の朝刊に記事が載っていると私が伝えている。
   そう云えばヘリコプターの騒音で.何か騒々しかったと。

     騒々しいと云えばこの2日間.集落内に猪がでて.かなり畑を荒らしたらしい。口々に隣りも.あそこもと話は続く。今.山中で猟師と会ってきた。
   上手く撃ち倒すことができればと語る村人に。残念ながら逃してしまったと報告するしかなかった。共に残念がり別れている。

    猟犬
     ガードを潜れば斧窪の集落に入る角地で昼食を摂り.終えた所から50mも離れずして..二又ガード前の小さな空き地に.トラックが1台駐車していた。
   荷台の籠の中に1頭の猟犬がいた。先ほど猪と争い.傷ついた猟犬だろう。大人しい犬だと云っていたがその通り.目の前を通るまで分からなかった。
   猪の下顎の牙は上顎の犬歯で鋭く研かれ.敵に対してはガチャガチャ鳴らし威嚇する。銃猟では猟犬に追われた猪は暫しこの牙で.反撃し犠牲になると云う。

     覗き込み「大丈夫か?」と声を掛けると.うずくまっていた犬が一度起き上がる。かなり大きな犬.そして又丸くなる。
   残された猟犬は集落から少し離されたこの端に置きざれにされていた。飼い主は猟にでて不在。不安で吠えてばと配慮したと思われる。

     欧州では人に対しては.当たり前に吠えぬよう躾されている。日本の猟犬としては珍しく.本当に大人しい犬だった。
   これで猪狩りの話はピリオドに。今度は上り線の隧道口から斧窪御前山東尾根の下端に乗り.頂へと登り詰めることにした。


   2019年10月. 台風と猪・・エビ小屋山南南西尾根から曲ケ谷沢を経て大丹波川林道にでて帰宅して

     林道でカモシカを見て下山と入れ違いに台風19号が襲来した。甲信・東北地区の河川の決壊は59・堤防90の大災害を起こしている。
   その中.テレビの画像で千葉柏の利根川か.印旛沼で冠水した河川敷を横切る野生のイノシシの映像を映しだしていた。7.8頭の群れを見ている。

     生命に掛かわるとなると独立性の強いイノシシでも群れをなすのだろう。ヘリからの撮影か? 整然とサッと一列にならび行進する姿が映し出されていた。
   統制力を感じ.少し離れ気味に追うもう1頭は小柄な若いイノシシだった。

     過って獣の群れは北アルプスで.晩秋に槍ケ岳から里へ高瀬川を下る30頭以上の野猿の群団と共に下山したことがある。
   親子を群れの中心に集め.組織力ある統制の取れた集団だった。又志賀高原では春先に20頭近い中堅だけの野猿が集団が
   スキー場を横切った時は凛々しく整頓する姿で行進していた。野猿である。考えられぬ統制力があった。

     数だけを見ると奥多摩.城への旧道で30頭を超える鹿の群れと数年前に遭遇している。    
   やはり春先に雌鹿のみの群団で長い一列の線をなし.万が一の行動も決まりがあるようだった。帰宅してビジターセンターに問い合わせたところ.
   まず10頭台で珍しい現象だと語っている。それに比べイノシシはと云う.訳でもないが7.8頭の数に驚かされている。


   2021年04月. 醍醐の猪・・本郷山北東尾根から醍醐の勝負付近で

     東北東へ落ちる右尾根は醍醐川・要倉沢出合に没し.やや最初は急だが緩やかな尾根。末端に小コブを持っている。麓は要倉・醍醐大橋.
   北西に延びる左の尾根筋は植林に覆われた急勾配を持ち.硬い斜面に足元は滑り易くなる。オニナクボ右岸尾根.

     枯れた枝木が大地を覆い.下草の茂みのない540m付近で久し振り.真横を横切る猪に遭遇した。
   左手から右へ猪の黒い固まりが一頭.地響きを立て通り過ぎる。それも一頭かと驚くほどの重みを感じる地震きで迫力がある。

     親の猪と出会うのは大菩薩嶺北尾根以来だろうか。尾根筋で2頭遭遇。又林道にでてからは一頭と真近で擦れ違っている。行きよいよく谷間へ落ちた。
   ウリ坊は2頭.笹子川へ下る天狗山で鹿の鳴き声と共にトボトボ歩む姿をみていた。