蛭 サンショウオ 蟹 マダニ ・・鳥獣と昆虫等の世界


  2008年10月. 水ヒル・・丹沢.ユーシン沢源流の水場

     昨日水汲みをした水はまだ1000cc程しか使用していなかった。明日下山までの飲料水を改めて水汲みをする。昼食用にコッヘルとは言わず
   カップも汲めるだけ飲水を入れ.空箱にしてユーシン沢源流のツメへ駆け下りた。鹿の親子が横切った土崩れ場を下ると上方より.昨夜とは違った
   優しい鹿の啼き声を聞く。枝沢二俣まで6.7分。その下右岸に小さな湧水を見る。木洩れ日の陽射しを受けて洗顔は心地よく.冷たく水も旨かった。

     小を足し手洗で水溜りに手を添えた折.沢底の岩陰にうごめくものを見る。水ヒルだ。それも1匹どころではない。
   何匹のヒルが沈石の脇にたむろっている。サンショウオが岩陰にたむろうよう微々に動き群がっている。その1点を数えると6匹のヒルがいた。

     ヒルを見ただけでアレルギー的に体は固まりだしていた。帽子もタオルも入念にヒルがいないことを確め乗越へ戻っている。
   鞍部の草地で先輩自作の塩水スプレーを改めて丁寧に足元に擦り付け.ホッと息をつくことがきた。

     後に檜洞丸小屋で川ヒルと山ヒルの違いを教えて頂いたが.ここでは昼食を摂るにも落ち着かぬ場所に変わっている。
   K先輩は子供の頃.渋川の実家脇の小川で川ヒルをよく見たと言っていた。
   私は3年前の5月.他会のフナ釣り競技に参加した折.千葉県黒部川阿玉水門下流の田圃で水ヒルを見ている。

     田植え前でタナゴやメダカの水槽に.浄化のためタニシを捕っていた。その時は黒いヒルがいた。やや太みがあったよう思える。
   その後も釣場で水槽用に田圃土を譲り受けた時もヒルがいた。水槽で育った糸ヒルはその後度々見るようなる。
   他の山岳でも何度が見ることもあるが.東丹沢の鍋嵐付近はヒルの宝庫。私は春先後は東丹沢の入山は遠慮し控えている。

  水ヒル
  <水ヒル
   水ヒルは水蛭(すいてつ)とも呼ばれ.山ビルと同じくに血を吸われるとなかなか止まらなくなる。水ヒルは体の10倍もの血を吸い,
   6〜8ヶ月もの時間をかけゆっくり消化する。又水ヒルが医療に用いられたのは古く,中国では2000年も前に食べられていた。
   東洋医学では「毒を持って毒を制す」という説の中で「血を吸うものは血に効く」という考えから水ヒルが治療に使われた。

     古代エジプトではピラミッドの壁画にヒルを食べる絵が見られ.紀元前1500年も前から食用にされていた。
   水ヒルには抗疑血酵素「ヒルデイ」が含まれ,現在は血栓の詰まりを溶かしサラサラにする,漢方薬や健康食品としても活用されている。

     増えるヒル
     丹沢では局地的に生息していたヤマビルが爆発的に分布を拡大していた。
   その勢力は地域によっては山から裾野.畑まで広がり始め,この急速なヤマビルの拡大は主に鹿による媒介が原因とされている。

     ニホンシカの蹄に吸血するヤマビルが組織を壊死させ有穴腫癌と言われる口が開かれ.そこに寄生し,鹿の移動と共に分布域を広げている。
   以前は札掛周辺や丹沢三峰コース下部で見られていたが,今は焼山下部やヤビツ峠付近,鍋割山稜南麓二俣まで及んでいる。


  2009年03月. 煤ヶ谷の猿とヒル・・丹沢.路線バスの道中で地元の婦人との会話

     仏果山.経ヶ岳方面から乗り込んだハイカーで車内は賑やかに.煤ヶ谷へ下る間に座席はほぼ満杯になる。私は地元の婦人を私の隣に誘っている。
   煤ヶ谷の農家は野猿の被害が膨大で可哀そうだと私よりやや年上の彼女は嘆き語る。宮ヶ瀬ダム2000年12月の完成したのが原因で.鹿や猿が移動し.
   まして今は猟期で動物の移動が激しく.それにヒルを運んでくる。今頃からゼンマイ等山菜の時期になり.沢山採れると云う。

     ただヒルが多過ぎ.地元の人は山に入れなくなった。血を吸う黒いヒル.痛みはないが.小指ほど真丸になるまで吸い.終わるまで放すことはない。
   予防は雨.曇の日は頻繁に活動する為.人は晴天に限る。土壌が温まると鈍くなり.3日も晴天が続くとヒルは活動を中止する。
   又人が列をなしていると必ず2番目過ぎの人が襲われ.それほど動きは鈍行とか。

     物見峠や登山口に熊と同じく山ビルの注意板が掲げられていた。期間は4〜9月になり.塩水も気休め程で予防方法は難しいらしい。
   塩ではヒルは離れるが止まらぬ血。対策に靴下との繋ぎ目はガムテープを張るのが一番よい。
   別れぎは風呂を選ぶなら別所温泉が安く.ゆっくり入れると教えて頂いた。

      被害の拡大・・今年の7月07〜08日.フジテレビFNNニュースで「本厚木郊外での山ビルの異常繁殖」が連続して報道された。
   この2年で住宅街の庭先や道路に山ビルが目立ちだし.被害が多く幼稚園園児までもが知る騒ぎになっている。神奈川県では2007年度より山ビル対策の
   予算が計上された。イノシシの出現が度々あり鹿もいる。各地区自冶体では対策に木陰となる立木を切り,落葉など被らぬよう掃除している。

     その道脇にヒルがいる。調査の結果では鹿45%.イノシシ32%がヒルの移動に共存させているという。広い地区で.何処まで棚を造ればよいか問題も多い。
    山ビル・・およそ寿命は5年.成体になると1年に1回血を吸えば生存と繁殖が可能で.一度の吸血で最大2年間は生きられる。
   吸血し約1ヶ月で1〜9匹のヒルを産み.そのヒルが更に1ヶ月で1〜8匹の子ヒルを産む.高い生存率と強い繁殖力をもつ生き物。

     成体は5.6個の卵が入った卵のうを一生のうち20個以上を生む。つまり成体一体から100匹以上のヒルが生まれる。
   それ故吸血された場合はヒルの処分も大事で.必ず殺す必要がある。

     ヒルは動物や人が往来する獣道.登山道の脇. 湿気の多い沢筋や水場,急斜面の緩やかなカーブ付近に多く.意外と藪の中にはいない。
   活動時期は4〜11月まで.10℃以上,湿度60%で冬でも活動し.特に湿気の多い梅雨,秋雨,台風の時は活発で乾燥すると活動は弱くなる。
   冬期0℃でも死なず.落葉の下などに潜んでいる。翌年4月には裏妙義山女道で落葉裏に付くヒルを見ている。

     人や動物の出す炭酸ガスや震動.熱に素早く反抗し.無風で2m範囲のサーチ力がある。無駄な動きのしない合理的な生物。
   尺取虫運動は1分間に60cm.濡れていると150cmまでと早く移動し天敵はいないらしい。
   山ビルの問題は自然環境の連鎖から.その背後に野生動物や森林生態系の保全が絡んでいる。

     吸われ離すには煙草の火.虫スプレー.塩を使う。対策は塩靴下や首に乾いたタオル,休みタイムは乾いた径真ん中にザック.帽子類を不用意に置かぬこと。
   傷口にヒルジンが残っている間は血液の凝固が阻害され.2時間ほど出血が続く。抜けば1時間.傷口は治るまで約1ケ月を用する。



  2009年04. 葉裏に潜む痩せたヒル・・妙義山の谷急沢の下りで

     谷急沢本流の沢沿いの径は荒れていた。ゴーロを隠す厚く被る落葉が曲者。流心を見ては沢沿いの荒れた薄い山径を探し探し下る。
   右岸.左岸と綴ると時折.古い赤ペンキのマーキングがあり助かっている。谷急沢を渡り返し下り.右の尾根を越えれば林道にでられた。

     途切れた径も落葉に埋まり見えぬ間々の踏み跡が続く。T氏.Sが先を探り落葉を転がして行く。K氏がその落葉の裏に付くヒルを見付けた。
   5cm程のミミズのような痩せたヒルだった。動くヒルにゾッとする私。急に谷歩きに恐ろしさが増してきた。深い落葉の下に湿ったヒルの巣ができている。
   一度標的を見付け.血を吸うと1年間は生存できると云われているヒル。そう聞くだけでも気が重くなる。

   下りの場合は登りより注意を要した。ミスすればヒルの巣に長く留まるだけでなく.時間をロスする。4人の目は林道へと先を探り求める。
     そして右岸に埋まる巻き道を見付け.小尾根(大黒乗越南から東へ延びる支尾根末端コブ手前)を越えた。中木川林道の女道登山口にでる。


  2012年05月. 滝島氏のヤマビル被害 ・・白毛門ピストンの翌日.大きな石祠がある吾妻耶山で昼食時.
    ヒルに吸われたT氏の痛々しい傷跡

     頂での昼食はコンビニで購入した結飯に缶ビール.イセエビの味噌汁を摂る。
   炊事が終わったところで滝島先輩が左足の足首上に血が滲んでいるのに気が付き.私もその姿を見ることになった。
   不思議がるT氏の顔付だが他に気を取られ痛みもなく.擦り傷を負ったと軽く診ていたようだ。

     その場は絆創膏で済ましたが傷はなく.刺されたような小さな穴がありマヤビルと判明した。出血するも痛みはない。
   登山口に戻り焼酎で消毒.綺麗に血を落とすと再び出血する有様。間違いなくヒルだった。吸うだけ吸ったヒルは消えている。
   又下りの大峰沼畔に「ヤマビル注意!」の看板を見付けていた。

     先週釣り仲間が丹沢早戸川の国際マス釣り場の河原に寝転んで.ヒルに血を吸われている。今思えば全く同じ症状だった。
   改めて自分の手足を探り見詰める私。


  1974年秋. 米子沢のサンショウオ・・ナメ沢の出合でビバーク

    焚火とユーホー? とサンショウオ.
     沢に入って1本.水量は乏しく岩盤の間の溝にサンショウオがはびこっている。
   澄んだ冷たい水の窪地に寄せ合うよう赤い筋のサンショウオが何か所で認められた。

     7〜8cmの赤い筋で数匹ずつ群がり,流れのある貯まりにじっと留まっている。
   指で触るたサンショウオは敏捷に逃げ回るが周りにいるサンショウオは這うよう,ゆっくり少し動くだけだった。


   1967年05月. 朝日連峰北部のサンショウオと「タキタロウ」・・大鳥池

     大鳥池畔テントサイド・・ブナの根元は幾らか窪み.融雪は認められるも,まだ雪解けの草地は現われていなかった。
   大鳥小屋はまだ無人である。ボートが逆に何艘も池から引き上げられていた。池畔には小さなイモリ(赤線のサンショウオ)が動き回っている。
   長さ中指ほどの大きさで真黒く.腹沿いは赤らめ.居たる所で見られる。

     小屋は思いのほか汚れてをり100m程下った雪上に天張る。まだ時間は早い。ボートを無断で借用.釣糸を垂らすも食いはない。
   竿もなく手釣りで糸を掴み.魚が掛かれば大はしゃぎしたものである。船上での彼等の奇声が大き過ぎるのか?
   狙うも小魚のアタリすらなかった。諦めホットケーキを焼きゆっくりした時を過ごす。

     大鳥池は山形県内最大の湖であり花崗岩地上にある堰止湖. 伝説の怪魚「タキタロウ」がこの池には住んでいる。
   昔五尺イワナがいたと伝えられ.漫画「釣りキチ三平」にも登場した魚がいる。

     学術的分類ではニッコウイワナ,エゾイワナの巨大化したのもとする説もある。ただ地元では「タキタロウ」がいることを信じている。
   学者やNHKが学術調査を行うも.未知の夢は大きい。現在捕獲されたイワナ類は40〜160cm.

     人気のある大鳥川(赤川)の渓流釣りとともに.大鳥池には明治から大正時代に掛け放流を繰り返したことも知られている。
   当時は深い山である。何故放流したか判らぬが.近年泡滝ダムまで道路も完備し登山路として出向くことができるようなった。


   2011年08月. 朝日連峰南部のサンショウオ・・金玉水

     朝日小屋の小屋番がここ金玉水で.高山植物をカメラに収めていた。小屋番と名乗り.泊ると云うと「ありがとうございます!」と
   丁寧な言葉が返ってきた。今日の宿は我々3人と初めて小屋番と宿る。

    サンショウオ(黒い線)
     水場に下ると足場は何処もぬかるんでいる。小さな石コロ混ざりの水溜りが多く.一日晴れれば干し上ってしまいそうなほど浅く薄い。
   残雪の雪解けの跡地.そこに今年生まれたばかりのサンショウオがいた。よく見るといわは.いるは。
   小屋番に言わせると大鳥池のサンショウオとは別物だと云う。そう云えば大鳥池のサンショウオは赤い線があった。

     全長3cm程の小さなサンショウオは真黒一色だった。一見するとオタマジャクシの子供と間違えるほど。
   道姿の水溜りのような水深5.6cmの所. 今にも踏み潰されてしまうような所を見詰めれば.見るほどサンショウオがいた。
   親は大きく10cmもある。臆病で暗くなると何処からか現れるらしい。


  2022年04月. 堰堤のガマカエル・・有間川日向ノ沢の堰堤で

     日向ノ沢の源流から下り.870m圏でオハヤシ沢が合わさると河原状の何の変哲もない所にでて.林道にでるのも真近.
   堰に乗ると最後の堰堤上に落ちる滝がが見下ろされた。その堰に居座っていたのが大ガエル.手の甲を広げたより二回りも大きいガマカエル。

     近ずいても動かず,微々たる目の動きにホッとし離れる。堰堤は赤テープを見付け左岸を巻く。
   そこには幾何学的なロープで固定され.足場はない空間を斜下せねばならぬ.嫌なポイントを抜けていた。そして有間林道へ。


  2022年10月. 山蟹.アカデカニ・・大丹波川林道.槙ノ尾山南尾根の取付きにて

     以前からあったものと思われたが取付きの林道向かい側の大丹波川沿いの旧作業道は改修されていた。掘り起こし新しく広い。
   堰堤改修工事を含めての為だろう。作業道を覗き込むと足元に山ガニを見付けている。甲羅は褐色で.脚は赤褐色の小さな3cm半ほどのカニ。

     サワガニとも呼ばれ,エラ呼吸をしている。綺麗な水の流れる小川や山の中にいる。カワセミやサギ.イノシシにイタチも好物で.
   日中は石の下などに隠れる夜行性のカニ。もう20年ほど前になるが北アルプスの大雪渓から親不知へ栂海新道を下りたことがある。

     その道中で大きな山ガニを何匹が見付けていた。文子ノ池を過ぎるとほぼ同間隔でサワガニ山を通過した。
   幼い頃.小学生時代に江の島の腰越で夏.過ごしていたことがある。国道を挟んだ海岸側の小さな岬のような小山の上に祠があり.
   歩いて数分の裏側の海岸岩場の海カニと祠付近の山ガニを取っていた。歩いて10分もあれば両方で別の世界のカニを捕まえていた。

     ここでは名どうり7〜8cm程の赤褐色気味の山ガニを何度か.足元にうずく姿を見ている。そこで改めて山ガニの存在を知らされている。
   今.足元にいるカニはジッとしている。ソッと甲羅に触れると慌てて.小さな隙間の穴に逃げ込んだ。アカテガニ.



  2018年10月. 西丹沢.西丸のマダニ

    マダニ
     鹿が増えれば寄生するヒルやマダニが増えるのも当然で.ヒルは東丹沢地区に多く.裾野の本厚木方面・市街地にも広く分布しだしている。
   又水ヒルは水郷へ鮒釣りに出掛ければ春先に水田でよく見かけているが.丹沢ではユーシン沢源流で見たことがある。
   この周辺は現在も藪漕ぎが行われる山域で.ヒルと更にマダニが生息するとのこと。

     マダニは日本紅斑熱.ライム病などの病原菌を媒介しているので噛まれたら.まず決してマダニの腹部を掴まぬこと。
   マダニの体液が血管に入ってしまうと危険は大。無理に引っ張ると皮膚内に口器が残ってしまう。トゲ抜きなどで摘まんで回すよう抜くとよい。
   少々動くには暑いがダニ防止服として今回はジャンバーでなく.薄いジッパー付きのカーデガンを用意し羽織っている。

     雨上がりの雫落としの尾根でひと安心するも.治まれば今度は行く先に蜘蛛の巣が幾つも張り付き.肌にピッタリ付いては歩きずらくなる。
   藪ムチも治まりホッとするも.顔や腕に絡み付く蜘蛛の巣.ストックを刀代わりに振るうことが多くなった。逃し絡めば取りずらく更に憂鬱になる。


  2025年08月. テレビのニュースより・・マダニ媒介の感染症「SFTS」

     今回初めて北海道でも発見されている。マダニが媒介する感染症. SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」について.
   「野生動物がマダニの運び手となり.徐々に広がっている。鳥が運ぶことも考えられ.どの地域でも発生する可能性がある」とされ.
   感染ルートとしてかまれる。尿や唾液などに触れる。直接刺される。

     今年これまでに全国から報告された患者数は速報値で135人で.一昨年の1年間の累計を上回り.過去最も多くなりました。
   これまで感染が確認されていなかった地域でも患者が報告されてている。いじらず直ぐに皮膚科或いは動物病院へ。
   潜伏期間は6日〜2週間で発熱.消化器症状がでます。致死率27%のマダニ感染症に厚生労働省は注意を呼びかけている。