第6弾.雷木沢左岸尾根から甲相尾根にでる。水晶沢ノ頭とパン木ノ頭.諸窪ノ頭・・河内川右岸尾根Top

   続.モロクボ沢・白石沢の出合から雷木沢左岸尾根を詰め.水晶沢ノ頭から大滝沢.東海自然歩道へ
     水晶沢ノ頭からジャガグチ丸・パン木ノ頭―諸窪ノ頭から畔ケ丸の大滝沢.東海自然歩道南尾根を下る 2017年11月29日.松村

      西丹沢ビジターセンターから雷木沢左岸尾根・・ブナハバチの幼虫
      水晶沢ノ頭からバン木ノ頭を経て大滝沢.東海自然歩道

     前回は本来なら雷木沢左岸尾根から甲相尾根に入り.畔ケ丸に立ち権現山マスキ嵐沢左岸尾根を下る予定でいた。
   それが前々回に大滝沢左岸の鬼石沢流域に入り.前回は右岸沿いの沖箱根沢左岸尾根から東峰東尾根に抜けている。

    甲相尾根を西に回り込む
     改めてガラッと変え.前々回の下山口.モロクボ沢・白石沢の出合から雷木沢左岸尾根を詰め.甲相尾根.水晶沢ノ頭に立つ。
   更に甲相尾根を下り諸窪ノ頭から畔ケ丸に回り込み.大滝峠上から大滝東海自然歩道を下るコース。
   前々回のコースを一回り大きくモロクロ沢右岸尾根の西側を回り込み.大滝沢に戻る形を取ってみた。

     今回はモロクボ沢出合より雷木沢左岸尾根を詰めている。モロクボ沢の核心は大滝の高巻き程度で他に難しい所はないらしい。
   堰堤までは短い区間だが美しい釜.ナメと小滝が特に見所になっている。ツメはモロクボ沢ノ頭に向い登る登山道。左岸の支流には雷木沢.水晶沢.メキ岸沢.
   滑棚沢など本流以上に滝がある。それらの流域を遠巻きに囲むよう左岸尾根から水晶沢ノ頭にでて.東海自然歩道を綴ることにした。

     10年ほど前の秋に甲相尾根を落葉を蹴りながら縦走している。その時との変化にも気がそそられ知りたいところ。
   下山は城ケ尾峠から大又川に回り込む積りだったが時間がなくなり.モロクボ沢ノ頭から畦ケ丸と半円形を描き.大滝峠上からステタロー沢を下った。

     移動性高気圧が関東地方を通過.冬型の気圧配置に変わるも.丹沢山塊では気圧線が緩み風もなく季節外れの19℃を記録する。
   尾根の取付きは仕事道からで前半は鹿柵の絡む中になる。山麓は丁度よい黄葉んも花盛りだった。
   ただ高度を上げるにつれ.山肌は冬木の装いに早くも変えている。

     今回は日の短さには追い付かず.畔ケ丸へとコースを変え東海自然歩道をそのまま進み.大滝峠上から大滝橋に廻っている。
   今までこの時期の山行は最後まで強行していたが日没後にの路上でのバス待ちが侘しく.歳だと諦める。

    1125m点峰・・犬越路隧道東寄りの大笄と小笄との間の枝尾根
   中川川マス小屋沢出合より上流を見上げる.8:47

    11月29日.快晴後曇.季節外れで19℃
      大江戸線.新御徒町5:12=5:30小田急新宿.急行:46=7:03新松田.富士急湘南バス:15=8:26西丹沢ビジターセンターbs.

     先々週と同じ電車で新宿駅を発つも.日の出は更に6時30分と19分遅れ.前回は新百合ヶ丘で日の出を迎えたが.今朝は本厚木辺りにに変わっている。
   伊勢原に入ると東空から沿線の街並みに至るまで.広い範囲をオレンジ色に朝焼けさせ.昇る陽光を車窓からも浴びている。
   手前の日陰の谷間は淡い白みの漂う藻のような朝モヤに覆われ.更に色濃くするオレンジ色と交わると逆光に煌き輝く陽光に変わり映し出されていた。

     裾野では黄葉のシーズンを迎えている。駅前からの路線バスは既にほぼ満員に。それでも丹沢湖を過ぎると乗客は数人とガラッと減っている。
   終点ビジターセンターには4人が下車した。トレイルランナーとハイカーがツツジ新道に続き入り.その先の林道を歩むのは私一人だけだった。

    塩地窪沢ノ頭北尾根
   610m付近の用木沢出合を過ぎ.白石林道ゲート.9:03

       雷木沢左岸尾根
    8:26西丹沢ビジターセンターbs一9:17モロクボ沢出合一9:50(792m柵穴)一10:10(865m付近鹿柵と離れ再び尾根筋へ)
    一10:56(923m圏小コブ)一10:56(1110m右支尾根と合流)一11:16抉れた尾根筋一11:45水晶沢ノ頭.

     雷木沢左岸尾根は白石沢と室窪沢の支流.雷木沢に挟まれた尾根で.突き上げるのが甲相尾根に聳える水晶沢ノ頭1278m。
   尾根の前半は植林帯の鹿柵の尾根。後半は自然林に恵まれ.県境の頂に立つと檜林の台地に迎えられている。

     尾根筋右の白石沢は道志沿いの湯花ノ沢と共に大理石が多く見られる沢で.白石沢上流部には大理石の岸壁に落ちる白石ノ滝があった。
   峠名も沢名から白石峠と名付けられ.尚この地域の大理石やホルンフェルスなどの鉱物は神奈川県の天然記念物の指定され.採取は禁止されていた。

     左筋の雷木沢は「丹沢の谷110」にも載られていない沢で.人の気配も踏み跡も少ないようだ。
   丹沢のバリエーションに取り組む愛好家に歩かれているようだがF1.大滝20mの障壁が人の侵入を防ぎ.要ハーケンに小カム各数本が必要.巻道も険しい。

    目指す雷木沢左岸尾根の812m点コブと1110m圏肩
   白石沢とモロクボ沢との出合.林道分岐より.9:13

     先月下った塩地窪沢ノ頭北尾根の白石林道のゲートから正面に末端尾根を見上げている。
   山びこ橋からビジターセンターまで下った林道を再び辿っている。用木沢との二俣を過ぎ.白石沢と沢名を変えている。

     モロクボ沢出合分岐にでると植林越しに751m点コブが望められ.右遠方は1110m圏だろう。
   右支尾根の合わさる肩が見上げられた。山全体が焼ける朝陽を浴び.これから865m付近までは鹿柵群と向き合うようなる。

    左岸尾根の末端部
   白石沢と室窪沢が合わさる河原.9:27

   尾根末端を見下ろす.9:31

     旧キャンプ場へと白石沢に掛かる橋を渡るとそこはもう雷木沢左岸尾根の末端になる。
   やや広い河原状.明るく澄んだ朝の陽ざしが樹間を透し.木洩れ日が足元に明るく照り付けていた。

     ここには植生保護柵のブロックがあり.扇状に広がる尾根の両側には鹿柵が設けられている。
   赤抗に黒抗.更に紺色の抗が点々と無数.纏わりつくよう埋められていた。如何してこんなに埋められているのかと思うほど多い。

   751m小コブを越え白石沢側に跨ぐ.9:43

    鹿柵
     少し上流側に確りした山林管理道があり.最初は大きくジグザグを切り登る。落葉に埋まる急斜面は高度を稼げると共に歩き易すかった。
   尾根らしくなると尾根筋の左側を登り.鹿柵が現れる。そして751m点コブ当たりで.鹿柵は無くなるが再び直ぐ現れた。

     痩せ尾根になり尾根筋は両側が抉られ.その中を鹿柵が設けられている。
   共に抉り落ちる鹿柵との狭い空間を潜り抜けるよう登ると脚立があり.鹿柵の右側(白石沢側)から詰めるよう選び跨いでいる。
   ここは雷木沢側に鹿柵を見つつ登る狭い場所。右側に回り込んで良かったようだ。急登の痩せ尾根は鹿柵の枠を掴み掴み登るようなる。

   792m付近の鹿柵穴を潜る.9:50

     尾根筋を横切る鹿柵に閉ざされる。雷木沢側は切れ.白石沢側の枝尾根に回り込むと柵穴を見付け這い出ている。
   出た先は抉り落ちる窪溝で.尾根筋にある鹿柵の反対側を戻っている。又忘れたころに黄色いプラ抗を見ていた。

   尾根幅が広がりだしている.9:55

   812m点コブで鹿柵途切れるが直ぐ現れ.白石沢側を巻く.10:05
    尾根幅が狭まり鹿柵の絡みが続く。

    善六山
   鹿柵と離れ尾根筋を左へ.10:10

     鹿柵を左に見つつ登り詰めると尾根筋から離れ気味になり.865m付近にある脚立で.雷木沢側に跨いでいる。
   急に明るい疎林の尾根肩台地にでた。落葉で欠け始めた黄葉を透し.雷木沢を隔て畔ケ丸.善六山方面の展望が開かれる。
   8月から中川川右岸尾根周辺を歩き回るようなり.初めて北面から真近に望む山並にもなっていた。

    檜洞丸と石棚山稜
   白石川を隔てた遠望.10:18

    甲相尾根・・白石峠方面
   923m圏の小コブと大樹.10:20

     ビジターセンター付近では真っ盛りだった黄葉も.山麓から高度を少し上げると.枝木に付いていた残り少ない黄葉も落ち.裸枝が目立つようなる。
   900m付近に達すると殆どが裸林に変わり.尾根筋は落葉に覆われた。その分尾根上は木洩れ日も多く.明るい眩い日差しを受けている。

   目立った緑も樹葉は薄い.10:51

    右支尾根との大きな合流点
   1110m付近.10:56

     980m圏で右後方から目立つ細い支尾根を合わせ.1110m圏肩では919m点の太い支尾根が突き上げ合わせている。
   傾斜は緩み左へ尾根伝いに回り込めば大らかな尾根に.尾根幅は広がり落葉を踏みしめ.西北西へ高みを詰めればよかった。
   冬木に覆われた疎林の木洩れ日は照り付ける台地をも明るく.梢越えには主稜を望み.蒼空を大きく描き出している。

    大室山
   大らかになった白石沢を隔てた台地から.11:00

    ブナ類の衰退
     熊の糞を2ケ所見つけ.緑色の目立つアセビにブナの林.時折モミの木が混ざる尾根。
   モミの木の根元でカラカラの枯葉に緑色の濃い小さなミノ虫を見付ける。縮じんで1cm強.何故か足元をよく見ると3匹が忙しく尺取る動きをしていた。
   これはブナハバチの幼虫だろうか? 蛾の幼虫か? 食葉性昆虫の仲間で5月頃に発生する幼虫だが.18℃という陽気で蠢きだしたのだろうか?

     2004年から2005年に丹沢大山総合調査で.ブナハバチがブナの主要な衰退原因の1つであることが突き止められている。
   2007年は大規模発生の年になり.丹沢では1000m辺りからブナが見られ.そのほぼ全域で被害が受けていた。

     特に塔ケ岳など中央部から檜洞丸や大室山に至る西丹沢の1400m以上の主稜線部で.ブナの衰退が進んでいた。
   白石峠から蛇口丸に掛けての1100m付近でも枯死木が激しく.南に面した日射指数の高く.土壌の水分指数の低いほどブナの衰退は進んでいる。

     又衰退が進む地点ではブナ以外の樹種の樹勢低下も進み.モミは1960年代から大山で立ち枯れが生じ.大気汚染と峨の一種が大量発生し.
   その幼虫の影響を受けていた。ウラジオモミは1980年代以降.ニホンシカの樹皮による立ち枯れ現象を起こし進んでいる。

     丹沢のニホンシカは戦後一時.狩猟による減少がみられたが.保護と拡大造成に伴う伐採跡地などで1960年代には個体数が爆発的に増加。
   それでも1980年代までは積雪が多く.シカは越冬できないため.生息の高密度化は殆どなかったようだ。

     ただ暖冬少雪傾向が顕著になる1990年代中頃から主稜線部に越冬が見られ.集中的密度化が進み.ブナ帯でのスズタケは消失。
   シカによる林床植生の衰退が加速し.2000年代に入ると更に顕著になった。
   シカはブナ稚樹の若枝.若い葉.冬芽を採食するため.それらの植物の更新を妨げる要因となっていた。

    抉れた尾根筋
   1150m圏で急に痩せ尾根に変わる.11:16

     尾根筋が狭まると白石沢側が抉れた痩せ尾根にでて.ストックを畳んでいる。
   又前回はストックを背負い.ストックの下の部分が知らずして藪の急斜面で抜け落としている。
   その二の舞にならぬよう.ストックを念を入れ締め直した。何ケ所がの岩場を越えるが左に巻道あり。

   尾根筋の右側が抉り落ちている.11:21

   11:26

   ブナと開けた蒼い空.11:36

     痩せ尾根を過ぎれば最後の急斜面. ズルズルの感はあるがストックを両手.片手に持ち,喘ぎながら登っている。
   ただ歩調はよく.チェンスパイクを試すまでの場所ではなかった。今回は先週購入したばかりのチェンスパイクを持参している。
   権現山の最後ツメの急登とマスキ嵐沢左岸尾根の下りで試みる積もりでいる。

     どの様な感触を持つのだろうか? 積雪期では雪線の途切れた疎らな雪面をアイゼンを付けた間々.以外と気持ちよくよく駆け下りている。
   細かく刃を持つチェンスパイクと軽アイゼンを比べると刃数は多いが浅い。又付け替える間を考えればスパイクだろう。最後に使う?

    檜洞丸山稜
   1230m付近から左岸尾根を振り返る.11:44

    雷木沢左岸尾根
     左岸尾根は思いのほか担々とした尾根. 下部は鹿柵群の尾根筋を外さねばよく.中盤から自然林に覆われ1110m圏肩で北西に折れている。
   傾斜が落ち.大らかになった尾根を詰め.ポイントとなる痩せ尾根にでる。後は衰えたスズタケ帯を直進し急登を越えれば水晶沢ノ頭にでる。

     左岸尾根を下る場合は雷木沢側が全体に抉れている為.顕著に目立つ枝尾根が少なく.それを考量すれば大まかに下りは分かり易い。
   テープのマーキングは排除されたのか少なかった。沢屋の下山路になっている。

    甲相国境尾根
   尾根沿いを綴る植生保護柵のブロック.11:44

     傾斜が落ちると尾根筋は鹿柵に吸い込まれるよう柵壁に突き当たる。甲相尾根の南面全体が鹿柵で囲まれている。
   水晶沢ノ頭の頂に立つ。頂は檜の植林帯.尾根幅広く南面の林相の境に鹿柵が連なり設けられていた。
   10年振りの2度目の登頂になった。前回は黄葉真っ盛りの中.檜洞丸.青ケ岳山荘に宿り.大室山からパン木ノ頭に回り込み.道志に抜けていた。

    水晶沢ノ頭
   甲相尾根乗ると頂にでた.11:45

    水晶沢ノ頭
     大室山から三国山へ延びる甲相国境尾根の東部.加入道山の南側.白石峠を隔てた位置にあるのが水晶沢ノ頭1278mの頂。
   東側の鹿柵を背に広い尾根の一角に苔が生う古びた野外卓があり.確りした道標があった。看板類もあるが倒れ.既に用を足した雰囲気だった。
   この周辺のブナは衰退し余り見られなかった。ブナに変わり.檜が植林されている。

     国境尾根の東側は神奈川県足柄上郡山北町にあり.丹沢大山国定公園に指定されている。
   そして西側は山梨県南都留郡道志村に当たり.横浜市水道局の水源涵養林として.保護.管理されていた。

     北隣りにある「白石峠」は過って「上峠」.「お茶煮のコシシッパ」と呼ばれ.相模の中川.箒沢集落と甲斐の上道志.道志川沿いの集落とを結び.
   交易路として過っては栄えていた。現在.神奈川県側は登山道として整備され.東海自然歩道の一部として整備されている。

     西丹沢ビジターセンターから雷木沢左岸尾根
     水晶沢ノ頭からバン木ノ頭を経て大滝峠上.東海自然歩道・・大滝橋bs