野猿と   ・・鳥獣と昆虫等の世界Top


  1970年10月. 不思議な猿の集団・・食を求め槍岳に登る。 横尾本谷右俣から千丈沢を下り高瀬川で遭遇・・偶然見た映像とNHK「槍に登る野猿」

  2007年08月. 上高地の野猿・・秋霖前線で荒れた穂高岳から岳沢へ下り

     岳沢ヒュッテから後1時間で上高地にでる。ストックを使い脚を庇い.大モミの森を抜けると上高地の治山林道にでる。左に小さな岳沢の澄んだ湿原が臨まれた。
   熊笹の生い茂る探勝路で親子ずれの猿が前方で戯れている。その1匹が私の頭上から落ちてきた。突然私の真上から目の前に大きな黒い塊が落ちる。
   歩いている目の前である。空中で回転し着地して走り去るのはやはり機敏な小猿。一瞬猿とは思えぬ大きなものが勢いよく頭上から真下に落ちてきた。

     目の前の視界が一瞬途切れた。何が起きたか思うも.見えたのは足元に転がる小猿。
   最近上高地に群がる野猿が増え.その後も観光客が弁当をあげる仕草を見て「あげるな!」と怒鳴っている。
   そして梓川を渡る。観光客で溢れる間々ならぬ河童橋を渡り抜けていた。

     田代.明神とで合わせて野猿60頭あまりが確認されている。2012年現在.信濃毎日新聞によると田代群約40頭.明神群80頭をり.
   河童橋周辺に拠点として新たに10頭程度の群れができたらしい。年毎に10頭程度が増えている。
   昔晩秋に高瀬川を下り.槍から里に下る大きな猿の軍団と出偶らしていた。・・その時も同期Sと一緒だった。横尾本谷右俣から千丈沢を下っている。1970.10


  2008年12月. 家族の猿軍団・・石丸峠〜牛ノ寝通りを下り榧ノ木山で

     残り雪も疎らになると左後方から「荷渡し場」にいたる「作業道」の道標を過ぎ.榧ノ尾山(川入山)1429m三角点にでる。
   玉蝶山から下り切ると大ダワまで顕著なコブもなく.起伏に合わせ緩い登り下りを繰り返していた。
   擦れ違う人もいず.周りの広葉樹は裸林の茂みを造り.陽が裸の枝々を透し.私達の体を暖めていた。榧ノ尾山にでて1本取った。

     休んでいるとその裸林の茂みに小菅川側から現れた猿の軍団がのんびり葛野川側へ右から左へ登山道を横切る。
   小猿を見守る親猿.一回り大きな小猿はわんぱくに見える。中猿が当てもなくその周りを駆け回っている。数にして10匹前後の家族猿。
   やはり先頭は見るからに確りしてた。見つめる僕等も.師走の温かい日差しと共に.ほのぼのした気分をもたらしていた。

     榧ノ尾山から東北東に延びる本郷尾根伝えに下ると土室川支流のタマナゴ沢に踏み跡があり.左岸から土室川左岸の林道に下りられる。
   又厳しい藪径になるが1364m地点先の水道局138抗から松ノ木尾で尾根沿いからは同じ地点に至る。
   土室川への経路のあるボンゴ尾根がここから派生してをり.小菅側の人々にはホンゴノ頭と呼ばれていたらしい。


  2015年11月. 勝気な野猿たち・・巳ノ戸沢右岸の大畑窪左岸尾根から入奥沢中腹道を下り峰谷林道にでて

     峰谷バス停に着いたのが4時40分を過ぎていた。バス停.5時5分発. バス停までの時間が分からず.三沢橋から左岸道にある見学コースを諦める。
   峰谷林道を道なりに下っている。その道中で.4景を描く野猿たちの小群れに出偶わした。初めは路肩の先脇の電柱から降りてきた野猿2匹と目が合う。
   アンパンを齧りながら下る私を見ていたのだろう威嚇してきた。「コラー!」と怒鳴る。とんでもない奴だ。威嚇しアンパンを盗もうと狙っている。

     対岸では猿どうしの喧嘩が始まった。甲高く奇声をあげ叫び.河原を忙しく走り追いかけている。その先の吊橋では猿が綱渡りをしていた。
   この橋を渡ると「下りのカヤ」があり.大きさを謡うのではなく奥多摩では名高いと云う「雨降滝」があるらしい。
   下流に「雨降り」バス停があったが.その因果関係は分からなかった。

     一番煩いのが最後の猿. 2匹が右手の電柱を片手で抱きながら私を威嚇した。パンが目的なのは分かっている。野猿が手を差し出すよう招いている。
   それも2匹が揃って同じ仕草をしている。頭にきて.再び大声で「コラー!」と大声で怒鳴った。すると周り全ての猿たちは大人しくなる。
   そしておごり興奮するバラバラの野猿たちの集団地を抜けている。峰林道と合わさると黄昏漂う峰谷バス停はもう真近で.日没を迎えようとしていた。


  2016年03月. 一匹の湖畔猿・・三頭山御堂指尾根から麦山浮橋への湖畔道にでて

     湖畔道を麦山の浮橋に向かい歩いていると一頭の大猿が入江に茂る樹木の長枝1本に背を寄せ.夕暮れの残り日を浴びている。
   それは見るからに人臭く.細い枝に寄り掛かり.足を組み.揺り籠の如く..まだ温かさが残る夕日の中に揺られていた。

     今まで夕暮れが近ずく頃になると猿との出遭いは常に.忙しく動き回る姿を見ていた。時には食べながら歩いていたせいか.脅すする野猿もいた。
   山をコツコツ歩き回って来た湖畔から眺める猿の姿は.人の気配にも気にせず,のんびり寛ぐ猿の姿。
   私にとっては野猿とは言え優雅な姿に思えた。私も気を使いソッと通り過ぎている。


  2016年05月. ゲレンデでの青年猿の整然とした隊列・・高天ケ原スキー場からゲレンデを繋ぎ.念願の北信の山.岩菅山

     既にゲレンデは下草の照り返しが始まり,仄かな流れの風にすがるよう助けられている。よき響きを持つカッコウの鳴き声がゲレンデの奥から風下に下りてきた。
   汗が垂れ,見詰めるリフトに諦めもつくが.目の前にあれば気になるもの。傾斜が急になるにつれ,ゲレンデを大きくジグザグに切るようなる。

     ゲレンデの中程で4才を過ぎた中猿たちだろう。ゲレンデを群団を組み.統制取れた隊列で斜め下に横切って行く。数える頭は20頭余り.
   家族単位の群としてのまとまりでなく.統一された中猿が並ぶ姿が見られた。それなりに何にかこの軍団は理由があるのだろう。か?

     昔卒業してから2年目の頃.45年ほど前になるが槍ヶ岳から高瀬川へ下った折.晩秋の山を下りる猿の大軍団と遭遇した。
   トップに立つ先鋭の鋭い目に見詰められ.大猿と云うより締まったガッチリした体格を持つ賢そうな猿。猿頭だろう。群の中程には親子猿が遊びながら下っている。

     長い列の道中は長いが,その列の末端にも強敵の猿が見守っていた。4,50頭と云ったところ。
   その時ばかりはその統制力に驚き.暫く並行してはその成り行きを見守っていた。

     岩菅山登頂から3年ほど経った2019年2月24日の朝方.テレビ朝日のニュースチャンネルで高天ケ原での野猿騒動を大々的に報道していた。
   スキーシーズン真っ只中の高天ケ原で野猿20頭ほどが大暴れ.宿や車に侵入し食料を漁り.我がもの顔で集落を歩き回っている。
   日光軍団と同じ姿.不注意があれば必ず襲われると。対策が取れず悩み.如何したらよいのか分からないらしい。前回見た猿の軍団だろうか?

     今年の春先に奥多摩むかし道から「城」の旧集落に入る折.25頭近い雌鹿のみが列をなす群団と遭っている。子鹿は一匹もいなかった。
   何故そのような行動を取るのか疑問を持ち.奥多摩ビジターセンターに問い合わせたが理由は分からなかった。
   後に秩父にでた折.バスの運転手から.その中に角のない雄鹿が必ず1頭か.2頭いる筈と教えらられた。鹿と野猿と種は異なっても何か共通点があるのだろうか?


  2016年07月. 転ぶ野猿・・狩倉山日陰指尾根を詰め.出た防火帯で

     石尾根に直進する右手の防火帯を分け.左の南東に延びる防火帯に入る。広い防火帯を綴る登山道。
   視界も広まり.緑の樹林に囲まれた防火帯は草付きの絨毯に覆われ.陽光は高曇になり.風は治まるも蒸す暑さは変わらなかった。

     頂から直接.防火帯に移ると直ぐ.目の前に伸びる細い蔓のような枝が竹弓の如く大きな弧を描き曲りだす。
   なんぞやと思うも弧は更に丸みを帯び.地面に着きそうな所で.大猿が1匹飛び降りる。弓のように羽根返った長枝から飛び下りるも野猿はずっこけた。
   足から着地せず.捩じれたように転がり.去る姿も可笑しい。アッと云う間の出来事だった。野猿も私の笑い声にバツが悪いのか.目を合わすことなく逃げ去った。


  2022年10月. だらけた移動の猿軍団・・水根山タカナメ沢右岸尾根を詰め.榧ノ木山三本ケヤキ沢右岸尾根の下りで

     主尾根から分かれた支尾根の広い尾根伝えで間を開けて尾根を横切る数多くの猿軍団と出遭う。だらけて行動する軍団は統制と云うような
   ケジメもなく.長く尾を引き.のんびり右の榧ノ木沢側から左の3本ケヤキ沢側に横切った。ゲームのようには見定められず.撮った写真をよく見ると
   固まる体形を何処かしこで見付けることができた。何か黒いものが動き疼く感じだった。

     それは立木の陰だったり.木の上にまとわり付くよう2.3匹づつの単位で動き回っているようにも思える。
   先頭にいた三匹は私に気が付き.驚いたのか立木に素早く登り.暫く動かずにいる。その間でも周りを見渡すとズッと後ろからも猿どもは現れす。
   脇の猿は奇声を放しているが殆どは私を意識せず.黙々と移動していた。それも一心に進む感じでなく,自分勝手に動き回っている。

     数にして20は超えよう。ただ親子のセットは見られなかった。最初の三匹はまだ同じ立木に居座っていた。
   驚くのは私だけでなく.猿本人も枝の上で驚きズッこける。それも連鎖が見られ.ドサッと落ちる音を聞く。ここでは地面に2匹が。
   そして1270m圏にでて幾らか樹間に間が開くと猿騒動は終えている。


  2023年10月. 県道で擦れ違った野猿・・浅間尾根上半から秋川の源流を歩んだ折.入山アプローチの街道で

     大型バスが北秋川沿いの都道205号線をうねり遡る。神戸橋(かの)を過ぎた辺りで1匹の野猿と出会った。バスを避けるよう路肩側をゆっくり歩き.
   鉢合せの格好になった。緩い坂道を唸り路線バスはスピードを落さず直進し.野猿と擦れ違う。私はフロントガラス越しに猿の動きを見詰めていた。

     咄嗟に避けるも.猿の歩むスピードは変わらず。運転者も何時ものことと何も感じず.分かっているような動作。不思議な光景に出偶わした。
   地元の人に聞くと.この辺では猿が頻繁に現れ.互いに気にすることもないらしい。知らぬと云っても相手は猿である。驚きびっくりするのは私だけ。


  2024年10月には浅間尾根の森ノ沢右岸尾根を下って檜原街道に入り.数馬下バス停で

     乗車した時はバスが動きだすと直ぐ野猿がバスの前を横切り.急ブレーキ。クラクションがけたたましく鳴る。
   野猿は目の前を通り過ぎたが無事だった。人も動物も交通事故が起きる条件が揃えば起きる。ただ無いに越したことはない。

     過って三頭山御堂指尾根を下った折.奥多摩湖の湖畔で夕陽を浴びる1匹の野猿と出くわしている。その時は立木の細枝に背をもたせ.
   足を組み.揺れ動く姿が大人びいた人臭さを感じさせていた。何か1つ異なる猿と出会うとホッとするか? 独り笑う自分がいる。