大鳥池・・縦走は歳と共に天幕から山荘に変わる。
      タキタロウ山荘から三角峰.以東岳を経て三方境.狐穴小屋へ。擦れ違う人もいず.風雨に晒された濃霧の背稜を歩む

     21日.泡滝ダムから大鳥池.タキタロウ山荘T
     22日.大鳥池から以東岳を経て・・ホシカラス・真新しい狐穴小屋U・ツナ缶の炎
     23日.狐穴小屋から朝日小屋V
     24日.朝日小屋から古寺鉱泉=小国街道

    22日(man).小雨・・大鳥池.キタロウ山荘〜狐穴小屋
      タキタロウ山荘.4時半起床.6:20一7:15小:25一三角峰一8:15小:25一9:25小レモン:35一10:00以東岳:10一11:10小羊羹:20
      一11:45中先峰一12:30狐穴小屋hc2.


    滝ノ沢と三角峰への尾根
   大鳥湖畔より. 正面茂みの下に堰堤があり七滝沢へ

     前日の乾かぬ濡れた衣類に着替え.いよいよ縦走が始まる。靴下は完全に濡れている。今日も同じような天気.高度が上れば更に風雨は高まるだろう。
   このままの天候が続けば下山まで乾かないかも。直登尾根の取付くには初っ端から東沢の渡渉がある。余り気にすることもあるまい。
   以東岳のダイレクト尾根を諦め.昔のルートを辿ることにした。山荘前に落ちる三角峰の尾根に直接取付く。

   オツボ峰コースの登り口
    最初は急登が続くが森林限界は早く.一汗掻けば灌木帯から草原帯にでるのも早かった。

   化穴山1505.9三角点峰と甚六山1427.4m
   三角峰手前から大鳥池を見下ろす.7:45
   左の沢筋は残雪が少し残されている。右中央の湖畔の白い点が「タキタロウ山荘」.以前は中央に落ちる枝尾根の末端の湖畔に天張っている。


     三角峰で朝日軍道の道と合わさる。濃いガスが一瞬途切れ.霞むガスに大鳥池と対岸に取り囲む山々が望まれた。
   小法師山に化穴山だろうか? 以東岳は雲の中で真近にありながら望めなかった。

    朝日軍道
     過って米沢の地を預かるようなった直江兼続はもう1つの所領である庄内を結ぶ最短ルートを造っている。荒川湖の東辺鱒淵から
   草岡に至る軍道で朝日の背稜を越えている。軍道は狩猟路.修験路を利用し.軍馬が通れる道幅の確保させている。曲形家屋

     急坂は九十九にし.強風に備え朝日背稜以外はできるだけ稜線を避けている。途中の水場の確保をも図っていた。
   我々は軍道により造られた登山道を三角峰から以東岳を越え.大朝日岳まで歩む。


    三角峰肩よりオツボ峰
   朝日連峰らしい山並の広がり.7:50

      遠方の眺望は途切れるも.周りを取り囲む近場は如何にか望めるられるようなる。大地は緩やかな起伏が穏やかに波打ち.
   東北らしき山並が築かれている。Sは初めての朝日岳.これが朝日連峰のほんの一部だと悟らさせていた。

     休み3本目.レモンを齧った後の尾根伝いに時折と云うより暫.松の実を食べた獣の残骸が径巾一杯に散らばっているのが見られた。
   ここは松林のない低く這う灌木帯の背稜にでている。リスの話はよく聞くが場所柄リスでもあるまい。熊か?

     後日.朝日小屋の管理人からホシカラスの仕業だと聞く。
   松の実の核だけをほじり食べる利口ものだそうだ。この辺は昔後輩達と雪上訓練した付近だった。


    オツボ峰手前で西南西方面を見る
  

     左がオツボ峰肩. 中央が小法師山.右に綴り化穴山.尾根越しは三面(みおもて)川流域へ。
   朝日の背稜に立つと距離は稼げた。ただ三面川や出合川両面の深い谷間は全て閉ざされ.山深い懐の印象を掴むのは難しい。

     展望の利くのはそれなりによいことだが谷底を覗くめないのが一番残念に思えた。
   それだけ間近に立ちながら山の包容力の大きさを知ることができぬ。


   灰色のガスの世界
   以東岳1772.0m.10:15

     東岳の頂に立つ。体に押しつけていた風の風圧が一瞬途切れる。ガスの塊りの切れ目から登ってきた背方からは
   大鳥池が2つの沼のよう現れ.剥ぎ取った熊の皮をのよう広がっている。1つの池として望まれた。
   そして見る間もなく又濃いのガスの中になる。展望は0。再び荒れ狂う風雨は留まることなく戻されていた。

   1514m台地を前に
   ガスは駄々広い平原に変えていた.11:00

   中先峰1523m手前の湿原帯

     小さな残雪と脇にはお花畑.草地に茂るニッコウキスゲが瑞々しくが風の棚引く揺れ動きが強く。
   その姿は華麗だが何処かもの寂しい。歩めば汗を掻いている。霧粒の叩きつけていた風が治まるとフードを取る。
   汗に当たる冷気が心地よい。ただ又被ることにもなる。

    奥が三方境
   コブを越せば狐穴小屋.12:05

     中先峰を越え背稜に雍す幾つもの起伏を越えた。尾根幅が丘のよう広がり.丸みを帯びた霞む丘が続く。
   そしてその中を綴る登山道が尾根の北側を巻き始めると急に道幅1m程の登山道が現れた。平石に敷き占め丁寧に作られていた。

     表面が綺麗に整えられていた。整備された登山道にでる。小屋が近いと先輩が叫ぶ。
   霞む丘に突き出した狐穴小屋(きつねあな)はその穏やかな円山の大地にぽつんと現れた。

    狐穴小屋
     17:50
   玄関に真向かいSの居る所が水場.14:20          2F.右奥が階段.右端が寝床

     少し見た目よりコンパクトな感じの収容54名の長方形の山小屋。東西に長く玄関は南側中央近くにある。水場は玄関の向かい側に
   とうとうと流れていた。又水場を隔てた先が昔のテントサイド.今は禁止されているが残雪跡の荒れた湿原が広がっていた。

     ここは又北東に延びる長い尾根の大井沢川から月山湖に下るルートと朝日縦走路,寒江山への分岐でもある。
   月山湖に下る北東に延びる尾根は途中に中継地点として天狗小屋(40名)があり.この分岐から出合川を横切り登り返せば朝方のオツボ峰にでる。

    狐穴小屋
     玄関から重い扉を押し開くと細長く土間が続き.右壁は下駄箱.右奥にはやはり綺麗な水洗トイレでトイレットペーパーも付いていた。
   ただ坐ると奥行がなく腰が不安定になる。前に掴まえるものが欲しい位奥行きは狭い。

     板の間で靴を脱ぎ.左の引き戸から上がると小屋全体の2/3程ある真四角近い板床が広がり寝床にもなる。
   入って直ぐ右側壁沿いにL字の階段が2階へ続いていた。

     木材をふんだんに使用した真新しい小屋。丸太小屋のような雰囲気を持ち.木の香りが伝わってくる。
   登った2階奥.北東角には冬期用の出入り口で仕切られた空間と管理人室がある。まだ真新しく確りした板床が心地よい。
   寝床はその南東角に陣取った。小屋番は居ず.炊事は中央寄りで取る。小さな手の込んだ贅沢な小屋だ。3人ではこの位の大きさがよい。

     昼食は冷やし中華.麺を茹ですばやく1階に下って水場に駆ける。雨は降り続いていた。そこでシリコンの網に括らせた麺を冷水に浸す。
   玄関から10mもない水場だが小屋は霞み.小雨混ざりの霧雨が周りの山々を閉ざしている。小屋のありがたさを噛みしめていた。

     中華麺にソーセイジ.キューリ.トマトを乗せればできあがる。紅生姜を忘れたが酢のスープが食欲をそそった。夕飯は中華丼.勿論米を炊く。
   今日も室内でちょびちょび焼酎を呑んだ。1本呑み干し.足りず明日呑む予定のウィスキーも少々手を付けている。

    ツナ油の炎
   あけぼのライト油付けツナ缶の炎

    新しいローソク
     Sがあけぼのフーズの油漬「ライトナツ」の小さな缶詰を持ってきた。酒の肴にとキューリと絡める。そして残った油はローソクになる。
   最初はトイレットペーパーを芯にと細くこより.缶詰の縁に寄りそうよう添え,火を点火するが炎は上がらなかった。悩む彼.
   再び試すが同じだった。油の吸収が強く.芯に掛かる湿り気の方が強過ぎている。

     改めて麻紐で試みる。一度目は駄目だったが2度目に炎が燃え上がる。綺麗な炎だ。
   できるだけ油分を少なくし燃えると同時に吸い上げる油の加減が難しい。それでもローソクらしくなった。

     風雨は相変わらず途切れない。夜が訪れると同時に今日もうなりだす。毛布とブルーシートを見付け.シュラフカバーの上下に掛けて寝むりにつく.
   気持の上では前日より恵まれていた。それでも夜が更けるにつれ.寒さで交互に起きては浅い寝が続いていた。
   K先輩は起きる都度.シートを擦る音が煩いと嘆く。路上生活者だとSと私を名指した。・・20時20分消燈

     21日.泡滝ダム〜大鳥池タキタロウ山荘T
     22日.大鳥池〜狐穴小屋U・・ホシカラス・ツナ缶のローソク
     23日.狐穴小屋〜朝日小屋V
     24日.朝日小屋〜古寺鉱泉=小国街道W