大菩薩連嶺. 楢ノ木尾根上半の泣坂ノ頭.雁ケ腹摺山から奈良子林道.真木小金沢林道を綴る・・桂川葛野川流域Top 大菩薩周辺のルート略図.山行表

  大菩薩楢ノ木尾根の上半. 雁ケ腹摺山と泣坂ノ頭を縦走し.林道奈良子線・真木小金沢線を桑西へ下る
    奈良子林道から泣坂ノ頭南尾根を詰め大蓮華ノ頭と雁ケ腹摺山―登り尾から姥子山を経て.林道奈良子線.真木小金沢線から桑西
                                                    2013年06月26日.松村
   林道奈良子線から泣坂ノ頭南尾根・・取付きの猫小屋・奈良子川流域の青年学級・絵図
   楢ノ木尾根に乗り唐松立.大樺ノ頭へと上半を詰め雁ケ腹摺山
   姥子山から奈良子線・真木小金沢線林道を下り桑西

    楢ノ木尾根
     東京近辺の山に登り始め6年目になった。25年ほど前に子供達と奥多摩の前衛を少し歩む程度。
   歩むと云っても御岳.高水三山程度. 大菩薩山域には高校時代.初春に小金沢連嶺を同級生と下ったのが初めてで最後だった。

     この数年大菩薩連嶺によく通っている。その中でも北面に位置する楢ノ木尾根は歩んでみたいルートの1つで残されていた。
   アプローチとして林道真木小金沢線が大峠を越え.小金沢公園まで繋がれている。大峠から先は一般車の通行は不能になっていた。

     ただ大峠へのタクシー代が¥9000台には驚かされている。私の考える車代はせいぜい1人¥3000円台。友に相乗りを願うが断られている。
   大月の運転手に相談したことがあった。よくて5月の連休の相乗りだけだと語っていた。それではと楢ノ木尾根を分断して登ることにした。

    宮地山と楢ノ木尾根
   浅川川二俣上
    扇山への曽倉山西尾根の取付より・・1013.01.26/7:26

     楢ノ木尾根は牛ノ根通りや長峰.三ッ森北峰.或いは昨年歩んだ大垈山ルートからも.常に取り囲むよう雁ケ腹摺山が遠望されていた。
   今回は雁ケ腹摺山から尾根末端までのルートを諦めて上半を歩み.更に姥子山から奈良子林道を利用し.吹切峰の真木川左岸尾根を南下.
   桑西へ下る。南大菩薩東面を奈良子川流域から横断する企画を立ててみた。

     日に日に衰える体. 直ぐ脱線し他のルートに変更することも多い.今回は頑張る積りでいる。
   ただ気負い過ぎて最後の林道分岐で時間をロス.ぎりぎりの時間になり.尾根筋は黄昏だしていた。
   安全牌として野分沢右岸尾根を下ることを諦め.再び林道に戻り.真木小金沢林道伝いに延々と桑西へ下ることになる。

     私にとって桑西周辺は昨年真木川右岸沿いの各支尾根を1本ず歩んだ基点に繋がる林道でもある。又よいことでは奈良子林道で.
   南方に延びる野脇ノ峰の東尾根を知ったこと。地形図を読んでいても私の目には浮き上がらぬ尾根だった。

    
    奈良子の春日神社脇のバス停.7:26          奈良子の集落と楢ノ木尾根下半の瀬戸境.水無山付近

    6月28(金)日.曇一時小雨
       jr御徒町始発4:36=4:39神田:41=5:42豊田:48=6:38猿橋.奈良子行始発¥460. 6:59=7:24奈良子bs
       一7:41矢竹の集落一7:47林道奈良子線起点一8:11泣坂ノ頭南尾根取付き一9:15(1067mコブ):20一9:48大岩
       一10:10(カメラ紛失):40一10:55泣坂ノ頭.

     路線バス奈良子線
     猿橋駅南口から始発6時59分発の奈良子線に間に合うよう下車した。今日は女学生達の乗車もなく.
   1人運転手の脇に陣取っている。彼女達はその前の53分発.浅川行に乗車したのだろう。

     小俣川に路線バスが入り込むと宮地山の裾を左手へ大きく回り込み.奈良子川右岸沿いを遡る。
   昨年の正月には田無瀬bsからセイメイバン南東尾根を経て大垈山.宮地山を周回し.小俣川を下っている。
   それから半年が過ぎた。今は見慣れた風景になった車窓からの流れに懐かしさを顧みていた。

     昨日.九州地方に低気圧が発生.梅雨前線が太平洋沿岸を南下し.笛吹,大月では曇天の予報がでいる。
   路線バスの運転士から午後には雨になると聞く。高曇の空.一時でも陽が射すことを願い.
   押しつぶされそうな気持を抱き入山した。降雨は覚悟しているが降らぬことに越したことはない。

     終点奈良子バス停は春日神社手前脇にある。広場をUターンしバスは数人の乗客を乗せ戻って行く。
   私は「気お付けて!」の言葉を受け.礼を述べ山に入る。

    奈良子林道から泣坂ノ頭南尾根へ
   矢竹の山村風景.7:41

   林道奈良子線の起点と左先が猫屋敷.7:47

     奈良子の集落を通り抜け.10分ほどで段々状に広がる矢竹の集落に入る。
   陽当たりのよい左岸の中腹斜面には家屋が建ち並び.殆どが村道から分けた枝道にあった。
   村道はその中を抜けて行く。そして集落の奥.最後の民家前が林道奈良子線の開かれた起点になっていた。

     前方の路上に犬が1匹たむろい.左斜めの空家前には小柄な白一色の猫が3匹かたまり.路面に居座るよう私を見詰めている。
   よく見ると空家の周りに同種の猫がまだまだいた。通りすがりに数えただけで驚くことに16匹。唖然とするも小屋の裏側にも.
   まだまだいそうだった。大きな猫小屋が1軒できている。何か不気味な雰囲気.そっと抜ける先は土道になる。

   奈良子川山椒橋から左岸へ.8:06

     昨年,宮地山に登り.頂の東肩の山ノ神平から北尾根の取付きを探索していた。
   その折樹林の隙間から奈良子川の河原にへばり付く.矢竹の集落を見下ろしている。

     この北尾根が扇状に広がる末端沿いを大きく蛇行する奈良川が回り込むよう流れていた。
   その左岸には楢ノ木尾根上半を巻き込み.奈良子を起点に百間干場を経由する林道奈良子線が遡っている。

     幅広い林道歩きだが以外に幾度も蜘蛛の巣を切る。今朝はまだ人だけではなく.車の往来もないことを示していた。
   沢の瀬々らぎが聞こえだし.右側の尖っ突きを回り込むと山椒沢に架かる山椒橋にでた。この沢の右岸が泣坂ノ頭南尾根の末端になる。

    泣坂ノ頭南尾根末端
   末端取付きの「奈良子272」のNTT矢竹電柱.8:11

    泣坂ノ頭南尾根
     泣坂ノ頭南尾根は泣坂ノ頭からほぼ真南に延び.奈良子川左岸に没する尾根で.二階谷と山椒沢を隔てている。
   尾根上に立てば大岩と最後のツメで少々支えを要する急斜面があるが地図もいらず.迷うこともなく直線的に楢ノ木尾根にでられた。
   又奈良子山とは固有名詞ではなく総称で.奈良子川に水を落とす山々を含めて呼ばれる里称のようだった。

   切り開かれた尾根に立つ.8:33

     尾根の取付きは山椒橋を渡った右尾根。渡った橋のたもとは側壁で登れず.電柱「奈良子272」の先.
   10mほどから適当に右斜面に入る。取付き地点で間を開けて3台の車が通り抜けた。林道先の二俣ゲートまでは車で入ることができる。
   そこからのコースは姥子山へ登る最短距離になるのだろう。恐らく姥子山から雁ケ腹摺山へ登るのだろう。

   地図にない小コブ

     最初は微かな踏み跡を辿ればよかったが直ぐ林道に並行するよう薄い作業道が横切っていた。
   この踏む跡は左手に折れ尾根を横切れば古道の二階谷左岸道と結ばれているのだろうか?

     檜林の植林帯.少し荒れた窪地から右尾根に向かう。薄い踏み跡は丁寧に探るのではなく.登り易い所を選び上へ上へと向った。
   枝木を支えに急斜面を強引に詰めると檜林は短く自然林になり.左手の枝尾根と合わさり.少し薄い笹藪が現れる。

     気にするほどの笹藪でもなく.30分ほどで切り開きにでて明るい尾根上にでた。ブナに落葉松混ざりの尾根.
   左下は植林帯になる。疎ら過ぎるスズタケは南尾根全体にもいえそうだ。枝木の張り出しは常にあるもの藪漕ぎらしき所は稀になる。

    二階谷左岸道
     HP「武州と東甲州のバリエーションウォーキング」氏によると林道のこの先の保安林標や不法投棄防止の表示が取付きの目印になる。
   歩道は一見尾根に取付くように見えるが深く切り立った二階谷の左岸を高巻き.進む先は大ダワタルへの旧道と思われた。

     二俣で泣坂ノタワと大ダワタルに分かれている。右俣は少し上流から右手の尾根. 泣坂ノタワの直ぐ西側から南側に延びる
   尾根を詰め.泣坂ノタワへ。以外と確りした踏み跡径らしい。左俣は最後まで遡り.大ダワタルにでて.三ッ石タルマにでる。
   今林道の支線が大ダワタルから伸延中とのこと。

   細く迫る尾根.8:56 

   1010m圏コブ.9:11
    手前で迎えたのは見事なコブを幾つも持つブナの木

   小コブ先の大らかなタワミを望む.9:34

     短い石屑の細尾根になり.大ミズナラが現れる。笹は疎ら.まだほんの気持ち程度に茂っている。アセビが目出ち始めていた。
   1010mコブで僅かに下り.緩やかにカーブするタワミは大らかな地形を造り.新緑のブナの樹葉に朝の明るさが若草色を増さしている。
   蝉時雨が耳ざわりになることもなく.新緑の贅沢な気分を味わっている。

   露岩の大岩.9:48

     露岩帯に入り大岩が現れる。左側に巻けるが眺望はなく.何処かが見られるかと直登する。
   岩の割れ目や重なる大岩にスタンスは大きく.ホールドは灌木と岩の割れ目.難なく直登し岩の上にでた。

    表道志倉岳山.高畑山.大桑山.鈴ケ尾山方面
   南尾根の大岩より.9:54
    右手は宮地山から延び小俣川に没する東北の尾根群

    楢ノ木尾根・・本沢源流
   大岩より楢ノ木尾根の南面

      背は左端が大樺ノ頭.唐松立.右の立木裏が1409m点峰。横切り刻むのは林道奈良子線.
   林道奈良子線と送電線葛野川線6号鉄塔。それに1409m点コブ先の1390m圏峰から落ちる支尾根に乗るのは深城線27号と28号鉄塔。
   鉄塔群が望まれる風景。手前鉄塔尾根が中央が用グラツリ尾根.その手前がツガ尾根。

    1409m点コブ
   右端アップ・・深城線の28号鉄塔.楢ノ木尾根上は29号鉄塔になる。

     正に大岩に乗ると樹林の梢越しに葛野川下流に掛かる表道志の山波が望め.真近な宮地山が半ば頭を隠し望まれた。
   樹枝の窓越には奈良子川本流が扇状に広がり.緑豊かな源流の大きさを示している。

     緑深い山肌は遠望すれば夏草のようにも思えるが真近で臨むと樹葉はまだまだ若葉色に染まり新緑で満ちていた。
   その山並みの上部山腹に痛ましく刻まれる林道奈良子線が横切り.山肌を刻み痛ましい姿で蛇行を繰り返しては横切っていた。

     又点々と見えるのは新旧2つの送電線鉄塔。共に給電,送電と別種の送電線で繋がれ.大きさも異なり.
   共に葛野川揚水発電所と結ばれている。人工湖.大菩薩湖からの水力を利用する平成の新しい地下にある揚水式大型発電所。
   奥側の巨大な送電線は新山梨変電所に向かい.西群馬幹線と接続し.リニアカーの動力源にもなっている。

   9:56

     左斜面を覆っていた植林が切れると尾根囲む全体が自然林の中になる。主尾根に突き上げるまでの時間を考えているうち.
   カメラを紛失したことに気付く.ポケットにある筈のカメラが消えていた。先ほどカメラで撮った地点まで戻り見付けに行く。

     幅広い尾根を丁寧に探るが地上は枝木に露岩混ざりで歩きずらく.又見付けずらかった。
   落とした自分が悪いのだが岩屑が散らばり紛らわしい。それでも如何にか.25分ほどを費やし見付けだした。

     カメラを落としたのは2度目.ケースも含めると4度目になる。ちょっと回数が多過ぎる。注意散漫と自分自身に問う。
   回収できたものの気を付けねば愉しい山行もつぶすことになる。

   10:11

    癒しの森
    
    南尾根一番のブナ巨木林帯.10:14

    ブナの森
     この尾根一番の落葉深い踏み跡を追い.ブナの巨樹に覆われた森に入る。大きくくねりながら枝々を天空高く伸ばす
   老樹は小枝の茂みも又.豊かな森を創っていた。老樹の枝々は腕木を芸術的な曲線美で飾り.周りの精気さえ異にしていた。
   先を忘れさせる気侭な踏み跡道。樹海の林床から周りを仰げば.枝々の広がりが尊厳さを生み.神が宿る大地を創造していた。

     陽射しには恵まれぬが薄暗さが更に周りに深みを与えている。やや風がでてきた。樹葉は仄かに揺れ煌めいている。
   この太古のざわめきの中を歩む。高曇の空は更に厚みをもたらしている。今日は木洩れ日を浴びるチャンスはまずあるまい。

     泣坂ノ頭手前から左手に泣坂ノタルに至る古い作業道が延びている。ただ確認はできなかった。
   この作業道へ登る南尾根は閻魔大王を背負ったお供の鬼が悲鳴を上げ.泣きながらこの尾根を登ったので「泣坂」という。

     急に大王を降ろしたので鬼が腰骨を折った。その場所を「コシボネ」と呼び.二階谷と山椒沢との間にあるという。
   それなら「コシボネ」は泣坂ノ頭南尾根にあると云うことになる。

     下調べの折.閻魔大王の話は別としても猟師にまつわり話がしばしば出てきた。「泣坂」は猟師の話でもあり.
   猟場も雁ケ腹摺山から大樺ノ頭付近.唐松立至る幅広い尾根上は.戦前に伐採が盛んに行われていたらしい。
   そこから奈良子の集落に通いう幾つかの古い作業道が造られていた。

   楢ノ木尾根に乗る.10:51

   泣坂ノ頭手前の道中で.10:53

     雑木の急斜面になり越えると大きな丸みを持つ楢ノ木尾根にでる。本尾根らしく尾根幅も広がり.ミズナラの茂る尾根。
   下生えはスズタケで背丈は1.5〜1.8mになるものもあるがまだまだ薄い。又踏み跡は何処も確りし.迷うような尾根筋ではなかった。

    楢ノ木尾根の泣坂ノ頭
   (スバノ山.スバノ頭.1420.7m三角点峰).10:55

    泣坂ノ頭
     南尾根のツメは大らかに丸みを帯びほぼ平らな泣坂ノ頭の少し東側の肩にでる。
   広い高台の大地にでた。若葉溢れる自然林に覆われ.望めだした頭上の空は今にも泣き出しそうな空模様を見せていた。
   それでも頂は幾らか明るさを取り戻している。南面はブナにミズナラ林.北側は落葉松林で眺望はない。

     この泣坂ノ頭は大樺ノ頭と同じく3等三角点標石が埋設されてをり.道標はあるが山名標は見られなかった。
   尾根上には緩やかな起伏があるものの.殆ど山名標は見当たらなかった。ただ峠というかタワミや頂には道票が整備されている。
   国土地理院.地形図「大峰」は泣坂ノ頭を大峰と間違って表示されていたが新版は訂正されている。

     泣坂ノ頭に立ち.初めて楢ノ木尾根に乗る。若草色に染まる樹葉が若々しく目立ち覆われていた。それにも拘らず.下草の茂みは薄い。
   6月下旬になるも.土色の地肌が地表を被い.スズタケの気配も伺えなかった。藪山は遠のき尾根筋は索莫たる大地になっている。

     少しは藪絡みがあると自分ばかり想像していたようだ。憧れを持ちつつ期待を寄せていたが楢ノ木尾根は名ばかりの
   平凡な尾根に変わっていた。大峠まで一般車が登り.安易な尾根になり過ぎたのかも知れない。
   現実的に雁ケ腹摺山に向かうと確り踏み固められた山道に鉄塔巡視路が尾根筋に綴られていた。残念だがこれも1つの山尾根には違いないが。

     泣坂ノ頭北尾根(スバノ沢ノ尾根)は初めての場合.シンナシ沢から適当に取付くより.西の枝尾根から鉄塔巡視路に取り付くのが無難。
   東の主尾根寄りは歩き易く.1026m峰まではあっさり到着。同峰から慎重に南のギャップに降りると.ヒカゲツツジの宝庫。
   落葉松の植林に入ると尾根すじから大岩へ。

     林道奈良子線から泣坂ノ頭南尾根・・取付きの猫小屋・奈良子川流域の青年学級・絵図
     楢ノ木尾根に乗り唐松立.大樺ノ頭へと上半を詰め雁ケ腹摺山
     姥子山から奈良子線・真木小金沢線林道を下り桑西