昨年2月〜4月に掛け東丹沢東の山々を歩む. 続々々の鍋嵐・・丹沢大山.三峰.鍋嵐周辺の山々Top

  新たなルートを求め変化に富む滝ノ沢から鍋嵐へ
    春雪に埋まる滝ノ沢左岸尾根から鍋嵐東尾根―偵察から其の儘.宮沢左岸尾根を下り返し物見峠を越える 2010年03月13日.単独

     三又路から滝ノ沢左岸尾根・・ワカサギ釣り・冷凍庫の谷底
     一宮沢左岸尾根から物見峠登山道

     シーズン振りに鍋嵐周辺に入る。今回も再び裏側の三又路から回り込み.滝ノ沢を横切り.ジャンクション西尾根から北峰にでて鍋嵐に立つ。
   丁度春雪に恵まれ.今までとは又違った東丹沢の表情を見ることができた。一宮沢左岸尾根を下り.後半はズルして物見峠を経て煤ヶ谷へ下りている。

    3月13日(土).曇後晴
      jr御徒町4:49=5:11小田急新宿.宮ヶ瀬ダムハイキング周遊券.¥1.710,快速:31=6:22本厚木:55=7:40三又路bs.

     自宅から始発で昨年と同時期.同じ列車・同じ路線バスで宮ケ瀬湖の三又路に入る。久し振りの路線バスは満杯で.車中は山ビルの話題で尽きなかった。
   私の周りには5.6人のグループが陣取っている。彼等は宮ヶ瀬尾根に入り道標のない径を歩もうと生き込んでいる。過って磁石が壊れ歩んだ宮ケ瀬尾根コース.
   東丹沢センターでの話では既にヒルの活動を確認され.注意を呼びかけていた。

     今年は菜種前線が活発で周期も短く雨の日が多くなっている。気温は日毎に著しく変わる気圧配置。
   10〜11日に掛け東海沿岸に低気圧が東進。その後は北低南高となり.湿った大地に春2番.3番の強い南風が吹き付けていた。

     バス車内でヒルの話題がもう出ていると聞かされ更なる不安に掻き立てられていた。今日はヒルのオンパレードと云われている滝ノ沢に入る。
   二俣尾根から左岸尾根にルートを変更しても.地域的には恐らく知れていることだろう。与太郎川左岸沿いの尾根にも不安が募る。

     路線バスは煤ヶ谷の集落を過ぎ土山峠へとエンジンを轟かせ登り始めていた。すると峠周辺の路肩に積る春雪を一面に見て.ホットすると同時.
   ヒルの話も途切れた。3日前に降った残雪が鍋嵐の大地を大きく変えていた。北面ならずとも東方の山肌も.春雪に埋め尽くされていた。

    滝ノ沢を挟んだ鍋嵐北尾根と滝ノ沢左岸尾根.右端がリエモン沢
   吹風隧道を抜け.7:59
    思わぬ春の積雪に渋い鍋嵐の谷と尾根を体験する

   滝ノ沢左岸尾根
     7:40三又路bs一8:20(5号橋):25,桟橋一8:40滝ノ沢F2上一9:15リエモン沢右岸尾根上一9:40赤帽白杭29一9:55ヤリミズ沢右岸尾根
     一10:05風穴沢右岸尾根合流地点一10:25水源資源標識一JP一10:50鍋嵐11:25.

     秦野清川線
     県道70号線に入ると車道は残雪が溶けだしているにも係らず.路肩は10cm程の積雪で歩き難い。昨年はオートバイがローリングしていた県道である。
   吹き溜まりは20cm程で登山靴の足元まで潜る。朝方からの強い陽射しは3日前に積った春雪を溶かし始めていた。
   久し振りの東丹沢. まだ日陰は冬枯れの兆しを残し.梢越しに山々を覗き込みながら.雪積もる感触を味わい歩むのも乙なもの。

     県道70号線で宮ケ瀬霊園を過ぎると大門橋にでる。地元の釣人が1人.ワカサギ釣りに興じていた。6時から2本竿で始めたと云う。
   バケツには7cm程のワカサギが70匹前後.元気よく泳いでいる。赤虫でのサビキ釣り。

     竿を持たずに2本の竿が同時に動くよう工夫した小道具を照れくさくそうに説明して下さった。
   今朝はワカサギの回遊が間々ならず.アタリも乏しいと云う。ただその笑い顔からは少し謙遜しているようだった。

    ジャンクションと滝ノ沢左岸尾根
   正面左から落ちる尾根が二股尾根.8:13

     ゲートを抜けた5号橋に釣人は見られなかった。昨年の同じ時期に北尾根に入るべく.この橋を渡っている。
   ワカサギを釣るグループに見守られ入山していたが.今年は誰もいず日陰の残り雪が侘しさを注っていた。

     渡った右岸の東橋詰.下流側脇に新しく河原に直接下りられる大型トラック道が円を描くよう形で広く造成されていた。
   渦のような幅広いアスファルト道路が周りとは似つかわしくないほど立派で大きく河原に降りていた。
   大型ダンプ2車線の湖畔への引き込み線.昨年は何もなかった所でだった。湖畔の士山高畑線道路工事が本格的に再び動きだすのだろうか?

    滝ノ沢右岸尾根末端
   右岸を綴る桟橋とV字に切れた滝ノ沢出合.8:16

     崩壊する桟橋
     滝ノ沢内の桟橋.8:36
     北尾根677mから北北西に延びる尾根末端を越え.8:25

     桟橋
     5号橋の上流側.川縁には滝ノ沢へでるまでパイプで組まれた仕事道が湖畔沿いに並行するかのよう.外渕に突き出す形で組まれている。
   朝方の山陰道は冷たく如何にも滑りそうな凍り雪。雪被る土台の姿が却って経路があることを目立たさせていた。

     革手袋に毛糸の帽子を被り.最初はそぞろ歩きで進む。アルミ板に凍る雪が乗り滑り易い作業道。高さもあり落ちれば湖面に没する。
   トラバースを終え滝ノ沢の沢底へ下るパイプの桟橋のガレ場に突き当たると所まで行くと崩落や落石が多く壊された箇所が幾つもあった。

     昨年歩んだ黒部湖の桟橋とは比べようもないが意外と長い桟橋が滝ノ沢の奥まで続いていた。
   新雪後に.このルートに入り込んだ踏み跡は認められたがその靴跡は少ない。今朝は私だけの入山になりそうだ。

    滝ノ沢出合
   V字状に落ちた谷を横断.8:47

     藪を攀じる
     崩れた桟橋を越えると滝ノ沢F2上の河原に降り立つ。雪原の河原は冷蔵庫の中に居るよう冷気が固まり冷え込んでいる。
   まだ薄暗い山蔭の谷底は雪白く覆われて見るのも寒々しい。取り付く対岸のV字を登る斜面を読む。
   真向かいの斜面には浅い溝筋はあるものの.殆ど同じ傾斜で急激に突き上げていた。漠然としたルートは直登にある。

     浮石伝えに対岸に渡り.掴み易い枝木や露岩を求めて三点確保で登りだす。這いような攀じり登り易い所を求め.できるだけ直登した。
   緩んだ山肌にぬかるむ積雪。崩れた踏み跡らしき横溝を横切るとその上にもやや確りした踏み跡らしき径がある。
   雪に埋もれよく見定められず見失った。そこも無視し尾根を上へ上へと突き上げる。

     足元から覗き込むと登ってきた斜面が股下に深く切れ落ち.頭上には明るい空が仰がれた。あと一歩の喘ぎが辛しい。
   尾根上にでると南の烈風を真ともに受けた。その風が又寒いこと。リエモン沢(ソエモン沢)の右岸尾根に乗る。
   振り返ると足元遠方に三又路から綴ってきた県道の湖畔道が見下ろされた。滝ノ沢出合がV字に刻まれ.その先に5号橋が小さく見下ろされていた。

    滝ノ沢左岸尾根に立ち
   ヤリ水沢右岸尾根との合流峰.9:11

     広がる尾根
     右岸の尾根筋は樹林を透し視界がドンドン開け.滝ノ沢の上流は朝の明るさを取り戻していた。
   対岸には前回登ったゴジラ尾根の677m峰が大きな山容を現わしデンと構えている。
   岩稜のない藪の背尾根が鍋嵐の頂まで続いている。何処でも下れそうな尾根が続くが藪山に閉ざされていた。

     ここまで来るまでは変化に富み.登るのに苦労させられたがその後の憩いが心地よい。
   樹林に遮られた藪を漕いだ後の1本が何とも云えぬ気持よさを起こさせていた。
   経路.作業道が多い。水源境界のある尾根筋は沢沿いのポイントに組み込まれた所も多く.そこを狙えば楽に山へ入ることができよう。

    鍋割山ゴジラの背
   円錐形に臨める677m峰と720mコブ.9:11

    

     卵の中に又卵のあるような楕円形の不思議な形の石を見る。それ程大きくはないが形を変え幾つも尾根上にゴロゴロ転がっている。
   ふと見ると如何と言うこともない丸石だが近くで見ると手を加えられた石の化石のようにも思えた。9:28

   時折陽の射しだした尾根筋.9:49

    宮ヶ瀬湖と5号橋
   右側がハタチガ沢と鍋嵐北尾根末端.10:06
    中津川5号橋直ぐ下流の右岸中央の白い台地が新たに造られた林道から河原に突き下るU字形の道路。

    宮ヶ瀬湖
   薄日に照らされた宮ヶ瀬尾根と鍋嵐北尾根

   10:21

     高曇の樹林に被われた尾根を綴る。所々尾根上は残雪が消えているものの一面の雪景色。
   「こんな風景も久し振りだな〜!」と思う。残雪の雪面に鹿の足跡が残されていた。
   山を下りてきた鹿の前爪が割れているのがはっきり判る。その上に私の足型が踏み踏となり残されてゆく。

    898m点峰と大山北尾根
   ジグザグに遡る唐沢川.10:27

     熊
     丹沢Vルート愛好会の集い「ニカニカ集会」の山行記録があり読まして頂くとこの鍋嵐から大山に掛け.少なくとも4組の熊の縄張りがあるらしい。
   居場所としてハタチガ沢上流に竹ノ沢左岸尾根.滝ノ沢中流が私の知る範囲になる。

     羆と月ノ輪熊は以前出偶わしているが昔は熊の話をすると笑われた。40年も前の話であるが日高の入山届を帯広営林署に提出し尋ねている。
   羆の話をすると人が一番怖いから大丈夫と笑われている。その一年後.日高では羆に襲われ何人もの登山者が死亡する大騒ぎになっていた。
   当時同じをルート縦走していた。その後.那須では15mも離れていない尾根筋の目線で出会い.仲間と体が動けなくなったことがある。

     又尾瀬ヶ原では最近.往きになかった木道に3時間ほどで戻ると大きな熊の糞を林道中央に見付けている。
   妻も驚き.脇の立木の幹皮も熊の爪で剥がされていた。

     猟とは異なり.動き回る熊を恐れるのは当然である。猟に誘われ,解体した熊肉を摘みに酒を交じわす素晴らしさは別のもだった。
   獣道が尾根を横断する緩やかな斜面が恐ろしい。笛も常に持参するようしているが山で使用するのは常に1.2回だけだった。
   タイミング悪く出偶なければよいと思っている。

   10:28

   それにしてもバテた。この1ヶ月間.町でも私事でも殆ど歩んでいなかった。外にでる時は自転車か.車での移動が続いている。
     山も1ヶ月半振り。年老いた体に衰退は驚くほど早く足を衰えさせていた。気力だけでは登れぬと改めて痛感させられる。

   ゴジラの背末端と宮ヶ瀬尾根.10:28

     今回は滝ノ沢左岸尾根から鍋嵐に立ち一宮沢左岸尾根を下り.三峰北峰を経由して宝尾根を下る計画を立てている。
   悠著しても気持ちだけは今まで通りの計画が立てられていた。先のことは頂で考えればよいと。
   ハタチガ沢方面の山々を見て北尾根か.宮ヶ瀬尾根を下ろうか。それとも物見沢へ下るべきか。

    大山北尾根全景
   10:33
    支流唐沢と藤熊川を分ける北尾根流域・・大山.西沢ノ頭.ミズヒノ頭.16号鉄塔と境沢ノ頭。末端側は630m圏コブと一ノ沼峠.

    鍋嵐の風穴沢右岸尾根より
     大山と北尾根の全体像が綺麗に望まれる。目立つ鉄塔の裏側が見えぬヤビツ峠。右手に登り三ノ塔ヨモギ尾根.新大日長尾尾根。右端が塔ヶ岳.
   唐沢川と藤熊川を隔てる大山北尾根にはミズヒノ頭と16号鉄塔ピークが望まれる。下って一ノ沢峠

     よく見ると新多摩線鉄塔群が横断しているのが判る。右端が23号鉄塔. 手前がの鍋嵐西尾根に乗るのが710m点尾根で.末端が一ノ沢峠脇の物見峠。
   送電線は物見峠脇を抜け.金沢右岸尾根を越え.宮ケ瀬湖西岸を北上していた。

   北尾根上部アップ.10:32

    主尾根核付近で
     風穴沢右岸尾根と合流.主尾根は穏やかな登りになる。空は明るさを増してきた。風も弱まりだしている。
   右手は明るい昼間の陽差しに変わりだし.西尾根の先に広い裾野が望まれた。その山波の先に丹沢の峰々が続く。

     660m峰を越え水源協定林の標板を見る。大山北尾根でも同じような内容の標識を見ている。
   何故こんな所に立てられているのだろうか? 土地の契約者さえ判ればよい筈だが?
   契約者との表示は必要事項である事は判るが何故この場所か。第三者に示すにはここが一番よいのかも知れない。大きな標板がある。

     ここから傾斜は更に緩やかになった。
   赤帽と赤帽灰短杭のセットの境杭は何時の間にか赤帽白杭に替わり.呆気ない登りでJPに立つ。ここで2組の下る踏み跡を雪中に残されていた。
   コブを回り込むと又懐かしさが蘇ってくる。昨年立ち寄った標杭多い頂は小さな鞍部を乗り越えさえすれば鍋嵐の頂にでいた。

   鍋嵐山頂.11:07

     鍋嵐の頂は更に明るさが増していた。層雲の大きな雲が切れ,潅木に囲まれた,この小さな空地を陽が照らし始めている。
   蒼空に変わった天空を仰げば眩い陽射しを頭上から真下に受けていた。残雪を避け腰を降ろす漸く頂に着き.体が和む気がした。

     頑張ったが行程はまだ1/3ほどである。堤川にでるか.宮ヶ瀬尾根を下ろうか.北尾根を下れば又三又路にでることになる。
   物見沢に下っても宝尾根を登り返す力は今あるまい。遅い下山になる。先の決定は又熊ノ爪まで先に延ばすことにした。

     鍋嵐周辺ルート図
     三又路から滝ノ沢左岸尾根・・ワカサギ釣り・冷凍庫の谷底
     一宮沢左岸尾根から物見峠登山道