入山の降雨を忘れる蒼さが鹿島槍ケ岳を包み.越えて爺ケ岳の頂から籠川を見下ろしていた。大町に下りる。
     ただ鹿島槍ケ岳北峰から藪絡む爺ケ岳中峰に立ち.定員を超える種池山荘で.もう1泊と思うも諦め.柏原新道から扇沢へ降りる

    風雨とカッパで蒸す白馬八方尾根と五龍岳
    好天に恵まれた五龍岳からキレット・・雲海と明け方の切れだした雨雲
    快晴の鹿島槍ケ岳だが爺ケ岳越え柏原新道を下山・・里は更に蒸す暑さ.扇沢.信濃大町から高速バス

    朝日を浴びる這松が目立つ鹿島槍ケ岳
   キレットを越え一段と高い岳は陽を浴びる.5:30
    アラ沢ノ頭2618mと鹿島槍ケ岳北峰天狗尾根. 南峰2889.1m牛首尾根

      7月29日快晴 鹿島槍.爺ケ岳越え下山
    5:58キレット一6:00吊尾根⇔6:30鹿島槍ケ岳北峰. 一7:18南峰, 一8:52冷池山荘一9:08赤岩尾根分岐一10:00小:05
    一10:34爺ケ岳中峰分岐10:51⇔10:35中峰. 一11:25種池小屋:46一13:17小:37一14:30柏原新道登山口一14:49扇沢駅

    まだ陽差しに恵まれぬ山稜
   五竜岳からキレット.5:33
    大黒岳.五竜岳.G5.北尾根ノ頭.大きく抉れて口ノ沢ノコル.手前が三段登り
    右手に水平に延びるのが遠見尾根

    明かるさが増した口ノ沢ノコルと八峰キレット
   北峰の登りで.6:00
    左端が東谷山

    西面はまだ山陰の黒部川側
   黒部側の巻道.6:30
    五竜岳東谷山尾根.東谷山2297.3m

     キレットから鎖.梯子×2と綴り.ガレ混ざりの登山道が吊り尾根まで続く。始めこそ急だがやがて傾斜は緩み.岩屑の道になればコルも近い。
   北方の山稜から綴ってきたキレットの山々が鋸の歯のよう深く切れ込み見下ろされた。

     稜から離れ北峰の黒部側を巻く。足元には東谷の広大な谷間が広がりを見せ.見上げていた北壁が近ずき.肩を並べるようなった。
   ガレ径を詰めれば吊尾根へ。北峰を空身でピストンする。

    秒読みに這い上がる陽射し
   北峰より.6:32
    キレットから続く国境稜線

     五竜岳の頭からは白馬三山と天狗ノ頭. 五竜岳東谷山尾根は餓鬼谷と東谷を隔て.阿曽原温泉前後の黒部川に没している。
   1つ先の尾根は唐松岳から餓鬼岳を経て祖母谷温泉から欅平に至る尾根。
   更に奥の尾根は白馬旭岳から清水岳を経て祖母谷温泉に至る尾根・・共に高度差のきつい長い登山道あり.

     唐松岳から辿ってきた山々に.更に遠く白馬三山へと連ねる後立山連峰の山並がこの鹿島槍の北峰から遠望される。
   東面はまだ雲海の欠片を所々に残しているものの素晴らしい好天に恵まれた。黒部谷を隔てる立山連峰の山並が悠然と構え望まれた。
   剣岳に続く北方稜線は更に延び.霞む日本海が如何にか望められるか? ジッと見詰めていると久振り.おぼろな丸みに水平線が眺められている。

    剣岳北方稜線
   鹿島槍ケ岳吊尾根より.6:00

     明け方歩み始めた頃は闇夜に埋まる谷間だった下廊下が開かれている。
   剣岳.小窓ノ頭.池ノ谷山.白ハゲ.赤ハゲ.赤谷山.プラグラ乗越.猫又山が主稜を築き.水平線らしきおぼろな日本海が背を覆っている。

    朝日を浴びる剣岳北方稜線
   剣岳東面アップ.6:34

    剣岳.小窓ノ頭.池ノ谷山
    剣沢雪渓.武蔵雪渓.長次郎雪渓.三ノ窓雪渓.小窓雪渓.大窓雪渓
    中間は黒部別山2353mとを剣沢が隔て手前はガンドウ尾根南仙人山2173.1m.

     岩稜の岳.剣岳の東面が明細に望まれている。八峰の南側.源次郎尾根や前剣東尾根はここ北峰からは団子の塊りとして望まれた。
   数年前に蓮華岳から望んだ剣岳とは異なり東面の尾根と谷を繊細な姿で現わしていた。ここは若き日.各尾根を真砂から集中登山している。

     最後に八峰の末端コブに登り難渋し.事故が起きたとテントを畳み.臨時のヘリポートかした台地. 下山の下廊下では本降りに叩かれ悲惨な下山だった。
   懐かしい谷と尾根.その時の相棒は今何をしているのだろう。連絡が取れずにいる。ここから顕著な姿を現わしているのは三ノ窓雪渓以北の山々。

    槍.穂高への稜
  
    吊尾根から南方に連なる国境稜線.6:17
    南峰から落ちる右下のコブが布引山(布引尾根)と北峰東尾根を挟む大冷沢北股本谷

    鹿島槍ケ岳北峰からのパノラマ・・南峰と影北峰
   南峰右景
    左肩奥は鷲羽岳.水晶岳.飛んで薬師岳. 右肩奥は別山.剣御前.剣岳
    吊尾根に陰を創る北峰山頂

    残雪
     今年は残雪が多いと聞くも.年毎に暖冬が続き.平均すれば北アルプスでも.残雪は大分少なくなっている。
   南面のカールにはまだ残り雪の塊りが見られるが.ただひと昔前と比べると如何にも少ない。

     46年前の9月下旬に白馬大雪渓から針ノ木雪渓を繋ぎ縦走ている。その折吊尾根には豊富な残雪が残されていた。
   ここ吊尾根までの飲水は初秋とは言え白馬雪渓から残雪を利用していた。ここでも吊尾根に坐り.5人分の大量の水を作っている。
   ここから先は天候が崩れ.連日雨天に見舞われ.針ノ木雪渓までは雨水を利用していた。

    後立山後半の山々
   南峰中景.6:32
   針ノ木峠から蓮華岳へ続く国境稜線・・・蓮華岳から望む五竜岳.鹿島槍ケ岳
   針ノ木峠の奥が鷲羽岳.水晶岳. その右赤牛岳・鹿島槍ケ岳の左肩は薬師岳

    針ノ木峠周辺
   南峰中景アップ.6:33
    針ノ木雪渓.籠川谷と奥は高瀬川. 手前に横切るのは下廊下棒小屋沢

    爺ケ岳と蓮華岳
   南峰左景.6:33
   針ノ木峠の奥に南沢岳が聳えている

    爺ケ岳北峰.中峰.南峰
   南峰左景アップ

    蓮華岳の長尾根の奥が高瀬川流域.
    高瀬川右岸沿いに連なる山々・・餓鬼ケ岳.燕岳から蝶ケ岳に綴られる常念山脈. 大天井ケ岳からの表銀.槍穂高連山.

     初めて北アルプスに足を踏み入れたのは50年以上前の丁度黒四ダムが完成し.梓川や高瀬川のダム工事が始まった頃になる。
   RHCに入部.新人養成を金峰山で催し.次の合宿で表銀から燕岳.槍ケ岳を目指していた。3年目には北アルプスの全山を縦走を成し遂げている。

     残雪期の北アルプスでは後立の爺ケ岳東尾根. 正月毎に餓鬼ケ岳南尾根を詰め.更に爺ケ岳南尾根.棒小屋沢岳・鳴沢岳へと
   尾根から頂稜を目指すようなった。残雪期に月明かりが美しいと天幕から飛び出し.夜間に常念山脈を縦走したこともある。
   それぞれが北アルプスに入る門出となった山行だった。

    鹿島槍ケ岳南峰からのパノラマ・・姫川流域と北信の山々
   吊尾根南面の残雪.7:19
    白馬の丘陵を隔て頸城山塊と高妻山.戸隠岳
    中央手前が裾花川流域の中西山.東山の山並
    北峰と吊尾根南面の残雪

    爺ケ岳と布引山
   爺ケ岳右景・・南峰より.6:35
    中央奥に聳えるのは餓鬼ケ岳.初めて北アルプスの正月山行に挑んだ岳

    爺ケ岳東面の尾根
   爺ケ岳左景.7:17

     鹿島川小冷沢と手前赤岩尾根を挟む大冷沢西沢と北股本谷・・爺ケ岳地形図
   白沢天狗山の右奥が蓮華岳東尾根に乗る1591m三角点峰.
   鹿島川は爺ケ岳白沢天狗尾根から鹿島槍ケ岳東尾根を挟み.遠見尾根までの山域を這い上げる河川。見える範囲は大川沢流域.

    爺ケ岳の尾根
     見えぬが中峰のジャンクションから南東に延びる白沢天狗尾根。その尾根に乗る白沢天狗山2036.0mが頭を東尾根に突き出している。
   その手前がジャンクションからの東尾根.1766.9m三角点峰を越え鹿島集落に下りている。この山行は幼馴染と共に卒業式をを抜けだし.
   社会人になると学生最後の山へと爺から鹿島槍をピストンする積りだったが雪洞に酔いつぶれていた。

     その手前が北峰から東へ延びる冷尾根。
   一番手前が冷乗越から東へ延びる赤岩尾根で.大冷沢北股本谷と西沢の出合に没し.大谷原にでる夏道がある。

    南峰と北峰東尾根
   振り返る左下が布引山

    棒小屋沢左岸の山々
  
    種池山荘と岩小屋沢岳・・布引山より.7:17

    中部アルプス
     布引山の山頂からU字に綴る爺ケ岳への山稜を外し.直接棒小屋沢を隔て種池小屋周辺の草原台地が望まれてている。
   広大に広がる台地. 針ノ木雪渓を囲む山稜が頭をもたげている。蓮華岳.針ノ木峠.針ノ木岳.スバリ岳.赤沢岳.鳴沢岳に岩小屋沢岳.
   鷲羽岳.薬師岳はこの山陰に入る。

     何故か頂に立てぬのが鷲羽岳. 学生時代を含め何度も目指している岳だが.その都度.荒天に見舞われ迂回を余儀なくされていた。
   数年前には.読売新道に出向くも.烈風に遮られ.目指すも.現場で戻されている。

     この頂を目指すと常に直前で天候が荒れ.烈風に乗り小石は飛んでいる。カッパは音を立て.頬には痛々しく小石が狙うよう襲ってきた。
   何の因縁か今だ立てずにいる北アルプスの岳。

     正面左に小さく赤い屋根の種池山荘が見下ろされている。その右上の窪地が針ノ木峠. 挟まれ覗く岳が裏銀に続く不動岳。
   ここで南沢岳に繋がり後立山は終わっている。数年前針ノ木雪渓を詰め.北葛岳.船窪岳の稜を歩んでいる。
   国境稜線の鳴沢岳の右奥に以外と近くに望めるのは立山連峰。越中沢岳.鳶山.鷲岳.浄土山

     岩小屋沢岳から右に長い尾根は北西へ延び.下廊下十字峡に没している。棒小屋沢出合が十字峡.
   目では跨ぐ種池山荘までは大きく左の尾根筋を巻きながら爺ケ岳三山を越えなければならなかった。
   岩小屋沢岳から左に長く延びる水平の稜になる。

    立山連山と剣岳
   布引山の下りで.9:27
    二重山稜と種池山荘周辺

     爺ケ岳南峰の西側には3本の線状窪地があり.多重山稜が広がりを見せている。
   爺ケ岳と岩小屋沢岳の鞍部にあたり.雲上の広大な草地が広がり.そこのオアシスになるのが中央の種池山荘。
   針ノ木峠と鹿島槍ケ岳の中継地にもなっている。連日ハイカーが多く.今回も先で悩むことになった。

    爺ケ岳三峰と冷池山荘
   冷池山荘収容250名.8:49

     布引山を越え樹林帯の登山道を綴ると私の前を大きな野猿が横切った。
   その足元に死んだ池塘があり通り過ぎている。続けて2匹の蛇を見付けながらが冷池山荘にでた。

    ヘリコプター
     夏休みに入り.荒天の後でもあり.山小屋はその準備に忙しい。キレットを抜け鹿島槍ケ岳の登りに入るとヘリの爆音を聞くようなる。
   頂に立つと冷池山荘を旋回するヘリによる荷揚げ作業が行われていた。更に奥から遠く聞こえる爆音は種池小屋への荷揚げだろう。

     布引山を越え冷池山荘にでた時は丁度その真っ最中だった。爆音が尾根の周辺に響き渡り.山小屋の裏口で通行止させられた。
   吊るされた荷が降ろされた場所は登山道の真中。ヘリが去り.脇で1本取ろうと腰を降ろしたところ.ここでも断られた。

     昔.この小屋の番人に怒鳴られたことがある。本降りで山小屋に顔をだすとハイカーも居ず小屋番1人だった。屋根を叩く雨音が煩かった。
   小屋前の広場に幕営をお願いしたが国立公園だと一点張りで怒鳴られる。虫の居所が悪かったのか.怒鳴り追い出すこともあるまい。
   今回も登山者の安全より盗難を恐れてのことか.言葉使いが悪く.少々不愉快が募るが休まず過ぎることにした。

     時期により何度がヘリの荷揚げ作業に出偶している。涸沢や奥穂高山荘.
   剣岳源次郎尾根では懸垂の最中にザイルを停め.剣御前の撤収作業を見守っていたこともある。
   最近では中高年の登山ブームに乗り.昔に比べと更なるヘリの活用が増えているのだろう。

     樹林帯に入り赤岩尾根への登山道を左手に分け.北峰にでると遠くだが更に大きくなった種池山荘の荷揚げヘリの爆音を聞いていた。
   北アルプスに夏山シーズンが到来.ハイカーの姿が多くなる。泊る予定でいた種池山荘も同様で泊らず.下山するのは正解だったようだ。

     久し振りのシーズン初めの山行. 今まではハイカーの少ない梅雨末期か.お盆明けの山行が多い。
   今回は残雪を求め,賑やかな山小屋泊りを我慢する積りでいた。その残雪の量も温暖化のせいか? 昔とは大分異なり少ない。
   山に入ってから一度予定を変更しているが山小屋生活が紛らわしく.1枚の布団に2人が寝る煩わしさ。満杯と聞き宿らず下山することになる。

     幕営と異なり.山小屋泊ではしょうがないかも知れない。
   冷池山荘は1963年.北アルプスの山小屋で初めてヘリによる資材の運搬が行われ.2階建ての本館が建てられた。

    鹿島槍ケ岳北峰と爺ケ岳中峰・南峰
   左端の尾根が南峰南尾根
    針ノ木雪渓から烏帽子岳へ縦走した折.雪渓で隔てられた蓮華岳の山頂からの遠望・2010.08.21/6:47

    藪絡む爺ケ岳中峰
   積雪期はこのコブの裏側にでたと思う.10:35

    爺ケ岳中峰
     爺ケ岳中峰に立つのは今回の山行の1つの目的にもなっている。昔正月の後立山に挑むため頂稜を縦走している。
   残雪の中峰東尾根と正月の南峰南尾根に入っている。改めて頂稜に立ち.籠川谷を見下ろしたいと思っている。

     中峰の分岐にでて.躊躇せず登山道を詰めている。笹藪を切り開いた.大きな石のゴーロ径を跨ぎ跨ぎ登る。
   頂稜は藪絡み.その先の谷間はガスに覆われ見下ろせず。ここで見る尖峰は小さなコブのようだった。

     冬期は風雪に叩かれ成長した雪積もる尖峰として望まれていた。ここは雪庇も大きく谷間側に張り出していた。
   藪で塞がれここで行き止まる。夏山の頂稜を丁寧に登る頂ではなかった。・・1969年03月卒業式の中峰

    爺ケ岳
     信州側では「じいがだけ」と頭高型のアクセントで発音され.「春に種蒔きをする老爺」の雪形が見られ.
   農耕の目安に利用された由来があり。栂山.栂谷ノ峰.後立山.王六ケ岳.爺岳.爺子岳と多くの別称を持つ。

   爺の北側山腹道で.10:51
    山体は熔結擬灰岩などで形成されている。

    爺ケ岳北峰と中峰
   南峰の登りで振り返る.10:56
    籠川側から吹き上げだしたガス・・1970年正月の南峰

    岩小屋沢岳と棒小屋乗越
   種池山荘収容200名の前広場より
    右上は立山連峰

    種池山荘で昼食を摂ろうと思っていたが食堂は閉鎖されていた。売店での購入をお願いされる。
   カップヌードル類が多く.寝床以外でも.何処でも食事が摂れると聞いていたが断られた。

     空いていた西側のベンチに坐り.ザックを漁る。水羊羹にチョコのソイジョイを1本.残ったトマト2を塩を振り口にする。
   少々空腹気味。下山すれば後3時間で蕎麦が食べられる。手元にはおかゆがあるが我慢して下ることにした。

     天空は蒼空が満ちるよう広がりを見せている。少し白い泡雲が湧きだすも快晴無風の高原のような台地。
   昼下がり.まだまだ陽射しの強さはこれからだった。

    柏原新道ガバラ雪渓
   雪渓は8月中旬まで.12:08

    柏原新道
     現オーナーの柏原正泰氏2代目が昭和30年代後半から42年頃にかけて.自らツルハシやソコップを手に持ち.独自に開拓した登山道。
   それ以前は扇沢沿いに直接詰める旧道があった。

     種池小屋からは扇沢の源流をトラバースする形で南尾根の山腹を巻き.南尾根2320m圏コブから南西に派生する尾根に乗る。
   岳樺からブナの森を抜け.大町アルペンルートに掛かる柏原新道登山口にでる。最後の下り.ジグザグ径でバテた。膝がガクガクしている。
   ・・柏原新道地形図

     軽く腹に足し柏原新道を下る。
   岩屑の径から岳樺の中.胸突き八丁を過ぎ.扇沢源流を奥ノ沢からはガバラ沢の中間尾根を抜け.アザミ沢のガラ場を越えてトラバースする。
   そして爺ケ岳南尾根の山腹を絡みながら.水平歩道を下った。ここまでは調子もよかった。手造りの石敷きの歩き易い山径が綴られている。

    蓮華岳と針ノ木岳
   針ノ木峠.12:16

    岩小屋沢岳岩小屋沢尾根
   扇沢奥小沢.12:51
    岩小屋沢と扇沢奥小沢を隔てる小屋沢尾根

     再び扇沢沿いに並行するよう山腹を下りだすと殆どは山腹道だが一時.南尾根に乗る。この辺が「八ッ見ベンチ」.
   右手に蓮華岳と針ノ木岳の雄大な山容が聳え.見上げられる所。その間には潜るよう針ノ木雪渓が深い溝を築き眺められている。

     樹間が切れた所から覗くと岩小屋沢岳の堂々とした岩稜が真近に扇状に開かれ.左端の長い尾根が岩小屋沢尾根だろう。
   過って正月に頂までラッセルし.好天に恵まれ.麓のベースキャンプから綴られたトレースを頂から見下ろした尾根になる。
   更に先の鳴沢岳は頂直下のリッジのトラバースがザイル不足で横切れず.諦め下山していた。

   アルペンルート扇沢P.駅
    丸石沢.籠川.扇沢

   ブナの樹林帯.13:26

     尾根の急勾配を下ると谷間に扇沢駅が見下ろされ,駐車場が以外に広く見下ろされた。
   大分下りてきた。疲れのせいか足は棒のよう動かなくなっている。

     取付きの岳樺からはブナの森が続き.後半に入り.巨木帯を抜け.最後のジグザグの九十九折りを急下降している。
   ブナ巨木林とモミジの群生帯はよい木蔭を創り風通しがよかった。照り付ける陽射しに膝が笑い山を下りる。

     最後があった。車道にでてから扇沢橋を渡って扇沢駅までの舗装道路は照り返し強く.又一苦労させられている。
   扇沢の駐車場を横切り.最後の汗を垂らし.登山口から20分ほどで扇沢レストハウスに如何にかたどり着く。
   扇沢ロッジは2008年を最後に廃業.昔に戻るよう扇沢周辺の宿はなくなり.0になっていた。

   柏原新道登山口.14:31

    関電トンネル
     そういえば1971年正月に爺ケ岳南尾根を登った時は駅からトラックを拾い.間違って関電トンネル口(今の扇沢駅)まで入っている。
   当時扇沢駅周辺は全く手が付けられいず.人工的なものは何1つなかった。

     坑道口には通行止のウマもなく.完成された坑道だけが大きく口を開け横たわっていた。
   人工的なものと云えば坑道と関西電力の道路だけ.当然気が向けばダムサイトの湖畔まで歩けている。

     周りは積雪の中.坑道内には粉雪も吹き込むまず.テカテカに凍った路面に緩やかな風がダムサイトから吹き抜けていた。
   当時は3年越しで正月をここで迎えていた。その後妻とアルペンルートを観光し.数年前は読売新道からダムサイトにでて.大町にでている。

     14:49扇沢.大町アルペンライン¥1350. 15:00=15:24jr信濃大町駅前.京王高速バス¥4110. 16:08=20:26新宿西口BT.大江戸線.
    黒四ロイヤルホテル
     大町アルペンラインは昔から何度となく通っている。そしてその都度.大町でお願いしたトラックから目に付くのが黒四ロイヤルホテルだった。
   昔を想い出してことだろう。暮れから5日間の好天に恵まれ.爺ケ岳を下りてから荒れだしている。「荒れる大町」として当時の日記がある。

     「扇沢に下りて陽は途切れ雪がちらついた。大町への黒四専用道路を歩む。粉雪が舞い.雪粒が風の流れに乗り.路面を這い渦を巻く。
   次第に視界が閉され.重くなった足に半ば凍った歩きずらいアスファルト。積雪のある所は良いが路面の見える所は全て凍り付いていた。

     それも飴のようなツルツルのアイスバーンだった。凍る天幕は重く足を乗せればバランスを崩す。
   右岸から黒沢が入り込むと樹林が低くなり.烈風は更に強さを増していた。

     雪雲が次第に低く落ち路面まで被さる。周りは黄昏のような灰色の世界に変わり.風雪は更に激しく地吹雪が巻き上がる。
   風は増し雪粒が頬を叩く痛さ。山ではなく.里に戻り荒れ模様になった。

     地吹雪で視界が全くなくなった。雪雲のドス黒いガスとなり.闇暗くドクロを巻き落ちてくる。目が開けられなくなった。
   頭を下げ顔が歪み.寒さで皮膚の感覚も失われだしている。下山して悲壮な憂鬱感はないが大町までただ黙々と歩むしかなかった。

     蓮華岳東尾根末端にあたる日向高原の東側付近で.右手に黒四ロイヤルホテルを見い出した。
   扇沢出合から初めて見る道路沿いの建造物.その一軒宿.ホテルを見付け.直ぐ飛び込んでいる。
   風を防ぐロビーと暖房. 気張っているた頬が次第に火照りだす。ボーイに車をお願いした。


     通る都度想い出すのはこの時の強い印象が残ってのことと思われる。下山してからアプローチで難渋したことが募ってのこと。
   今は扇沢駅付近は設備が整い.観光関連施設で溢れている。街道沿いの並木も視界を閉ざすまで高く成長している。
   大町温泉郷から鹿島大橋(鹿島川)を渡れば大町市街地に入り.jr信濃大町駅にでた。

    信濃大町
     前回のブナ立ち尾根の下山は中途半端な早い時間に下り.駅近くの旅館「七倉荘」で入浴している。
   アプローチは以前と同様.大町からJRで松本経由で新宿にでていた。今回は煩わしい乗り換えを避け.初めて高速バスを利用,新宿にでる。

    高速バス
     入山日は朝から荒天になり.風雨強く周りはなにも見えず.1泊延長する予定で.復路の29日券を解約.変更している。
   信濃大町駅前発の高速バス. 白馬八方〜新宿線の変更を妻に任したため.切符の手配ができず.携帯メールも届かなかった。?
   妻から便番号と座席を聞きとり.運転手に伝えると問題なく乗ることかできた。

     高速バスは16時08分発.車窓からは薄く乳白色に変わった黄昏が裾野に流れ込み.今朝登った鹿島槍ケ岳がひときは大きく悠然と望まれた。
   今朝7時10分に鹿島槍ケ岳に登り頂に立つ。今改めて見詰める遥か遠いい岳は今朝登って下っている。そこを大町の市街地から今見上げていた。

    西山神社
     高速バスは千国街道(糸魚川街道.R147号)を安雲野地方に向かい南下し.有明大町線.県道306号(山麓線)から松川村に入ると原村にでる。
   ここでふと一瞬見たことのある場所が横切るのを見る。鎮守の森と云うより広大な境内を持つ.松林に囲まれた西山神社を想いだした。
   そこは正月の北アルプス山行の初めての餓鬼ケ岳. 入山日に境内に天張り.焼津と東京組が合流した場所だった。

     左手には集落がたむろい.その先にホームだけの小糸線安雲沓掛駅がある。その先は田園風景が広がっている。
   無人の駅から右手奥に乳川の丘陵が広がり.源流は餓鬼岳が聳える。45年ほど前の大晦日.境内に天幕を張らさせて頂き.正月山行を味わっている。
   偶然のことで..その交差点で知ったことで.何も変わるものではないが.何か得をした気を起こさせている。

     今は神社の脇を流れる乳川の北側の林道起点から奥までは県道に変わり.国営アルプスあづみの公園(大町・松川地区)が開園されている。
   街道十字路には「国営公園口」と看板があった。又(南部は烏川流域に掘金・穂高地区)にも属公園が開園されている。
   高速バスは松本の北.南豊科から安雲野ICに入り.長野自動車道から中央自動車道に乗り新宿へ。

   諏訪PA.大町駅にコンビニあり.
   夏下着・・フラットラッシュ・パワーメッシュ¥5600+税=¥6048.アートスポーツ
   山と高原2010「鹿島槍.五竜岳」.「岳の町おおまち」大町市パンフレット・・新レザー登山靴スカパ

     風雨とカッパで蒸すの白馬八方尾根と五龍岳
     好天に恵まれた五龍岳からキレット・・雲海と朝方の切れだした雨雲
     快晴の鹿島槍ケ岳だが爺ケ岳越え柏原新道を下山・・里は更に蒸す暑さ.扇沢.信濃大町から高速バス