八ヶ岳赤岳から北上
     微妙に崩れた天候から八ケ岳核心を抜け硫黄岳山荘に宿る。後半は快晴の硫黄岳.天狗岳を越え.北八風情に変わる中山峠から唐沢鉱泉へ下山


      美濃戸から赤岳鉱泉―赤岳から北上し硫黄岳山荘
      硫黄岳.天狗岳―中山峠から唐沢鉱泉・・jr茅野

   夜半は硫黄岳山荘から満天の星空を仰ぎ.佐久の雲海から昇るご来光を見渡している。
     雲上に現れた陽光は雲海に霞む山波に影絵の如く浮き出させ.横岳の大きな山肌をオレンジ色に染め夜明けを迎えた。


    硫黄岳山頂
   朝方頂に立ち.「硫黄岳山荘」の看板より奥秩父連峰.7:00
    三宝山.甲武信ヶ岳から国師岳と金峰山

     10月07日快晴一時曇
        硫黄山荘6:30一7:00硫黄岳:10一7:50夏沢峠9:05一8:40根石岳一9:15天狗岳:40一10:20中山峠
        一10:35黒百合平11:00一11:40渋ノ湯への分岐:50一12:50唐沢鉱泉.
      硫黄岳
   地質学的にはよく分からぬが赤岳から北上すると痩せた岩稜が続き.昨日横岳の頂に立っている。
     横岳の北面は丸味を帯びた緩やかな山肌に変わっていた。それは1つの岳かと思えぬほど南北に非対称的な岳を構成していた。

   更に鞍部を越えた硫黄岳は広い台地状の頂で南東斜面の樹海には八ヶ岳特有の縞枯現象を起こさせている。
     北東側には大爆裂火口があるものの.全体的には更に大きな曲線を描き.岳を大きく見せていた。

   硫黄岳は八ヶ岳の中でも比較的新しい火山らしい。赤岳を始めとした急稜な南八ヶ岳と北横岳などのなだらかな森を持つ北八ヶ岳の間に
     噴火活動が絶えず移動していたとのこと。南八ヶ岳の最後の噴火で硫黄岳は888年に硫黄岳の北側が地震に寄り崩れ.
     稲子岳が東側にずり落ちるという地殻変動を起こしている。この時の岩屑流で生じたのが松原湖。

    赤岳と阿弥陀岳
   綴ってきた八.本峰群を背に.広大な平頂に覆われた火口台地に立つ.7:01

      三度目の硫黄岳
   訪れたのは3度目になる硫黄岳.この広大な台地の頂に立つたのも.それぞれの因縁をも頂だった。
     最初に登った硫黄岳は45年前の高校時代. 同級生4人が集い.奥武蔵伊豆ケ岳・武甲山に登り.夏休みを利用して無謀にも車山から蓼科山に立ち.
     硫黄岳から八ヶ岳本峰を南下した。中央東線の小淵沢駅へ下りている。

   日記を読むと前日は夏沢峠の駒草荘に宿り.元気よく硫黄岳に立ち.広い頂から赤岳の主峰を仰ぐ。早くも空腹感を感じ.横岳で昼食を摂る。
     「腹が減ってしょうがない。体の調子がよい証拠でもある。」と青年小屋まで辿り.翌日下山した。勿論小屋泊り.

   2度目はRHCに入部して2年目.夏季合宿は女子パーティに回され.妹と2人.行者小屋をベースに.今回のコースを歩み.硫黄岳から赤岳鉱泉に下りている。
     この時は部室に残る天幕を使用してよいと先輩から許可を頂いたものの.8人天しか残されていたかった。
     背負い出掛けるも.シュラフは娘が使い.私は広い天幕の片隅で.カッパを被り寝る始末。好天が続き助かった想いがある。

    北八ヶ岳連峰を望む
  
    右上に遥か遠く湯ノ内山.籠ノ登山.浅間山を望む

      遠望
   刻一刻と陽差しが昇り.その変化に合わせ岳を立体化させ.硫黄の頂からは南北に連ねる八ヶ岳のほぼ中央からの大パノラマが展望させた。
     振り返ると荒々しい山肌を現わす岩峰の南八ケ岳.本峰の奥には南アルプスも遠望され.右へ回り込めば中央アルプスから木曽御岳.乗鞍と続く。

   北方は手前の夏沢峠を隔て延びる北八ヶ岳の山並. 今までとは全く違う地層で緑の森が広がり.自然豊かな雄大さを山肌からも感じさせられていた。
     西方遠方は前回登った穂高岳が霞んで望まれ.大きな窪みのキレットが認められる。そして槍の穂先からは更に後立へと綴られている。

    根石岳と天狗岳西尾根.東天狗岳
   更なる園方は北八を象徴する蓼科山.7:04

   冬季はカンジキの世界が広がる北八ケ岳の山々. 私の学生の時代はここで新人養成合宿が行われている。
     又合宿の準備山行では双子池を訪れ.集中地に選んでもいた。積雪期に少なくとも正月を含め4度は通っている。
     森と湖の大地に新雪を掻き分け.来る日もラッセルを繰り返しては膝上のトレースを築き.この峰々と湖を綴っていた。

   右下に抉り落ちる夏沢峠・・硫黄岳からの下りで.7:10

   夏沢峠から湯川側の尾根.7:56

      森林限界
   大爆裂火口の断崖淵を下り瓦礫の径を下ると.岩稜帯と別れ夏沢峠より北八ヶ岳の森が待ち構えている。
     夏沢峠が森林限界の境をなし.この先は北八と称した穏やかな森の世界を創っている。
     峠の径を挟んで建つ山彦荘と夏沢ヒュッテ(駒草荘)は共に既に休業中でオーレン小屋に混雑が回ったようだ。今回は予約が遅く断られている。

     根石岳
   新人養成合宿で幾度となく歩んだ懐かしい根石への径.8:43
     新人養成V.W.

    根石岳より振り返る南八
   遠くなった硫黄の肩越えの赤岳.阿弥陀岳.中央は権現岳

    天狗岳西尾根末端を望む
   西尾根末端にはこれから訪れる唐沢鉱泉がある.8:43

    西上州県境の山々と奥秩父
   根石岳より.9:25
    御座山と右裏の両神山. 県境尾根を越え三宝山.甲武信ヶ岳. 離れて国師岳.金峰山

    天狗岳山頂
   阿弥陀岳御室尾根と硫黄岳峰の松目.9:29
    南アルプス.鳳凰三山と北岳.窪みの小さな鈎は塩見岳. 甲斐駒と大きく千丈ヶ岳, 右裾最初の小さい突起が鋸岳

   頂の深い空.9:27

   硫黄岳から中山峠まで東側の裾は縞枯現象を現している。天狗の頂では紺碧の空に恵まれていた。風は強し.ウインドヤッケを被る。
     空は何処までも澄み蒼い。頂では山ではなく仲間の顔と天空を写真に撮る。

   天狗岳には4度.赤岳には6回目と頂に立つ。ただ全景は覚えているものの.登山道を綴ると忘れてしまっている所も多い。
     記憶はあるものの赤岳鉱泉から行者小屋への径.横岳の頂稜や天狗から中山峠へのゴロ状の山径と薄れている所も多い。

   何十年前の頂に立ち.全く違った岳を登っている感じさえ抱かされていた。
     記録的には今回の山行で入山道と下山道のみが今だ踏み込んでいない山径だった。

    中山峠と北八の陵
   天狗岳より中山峠と北八ヶ岳.9:26
    遠方より蓼科山.横岳.大岳. 下って八柱山と稲子岳ニュウ. 右奥は浅間山

   天狗の岩稜から中山峠にでると北八ヶ岳特有のシラビソが広がる原生林の森の入口に入る。
     私が学生3年の時.新人養成合宿として.今までの奥秩父. 金峰山周辺から新たに選び求めた山域になる。
     ここには岩稜帯と春の残雪.深い森に幾つもの大きな池を抱いていた。

   中山峠から古い木道を歩むと直ぐシラビソも森の湿原台地が切り開かれ黒百合ヒュッテが現れる。
     古い板張りの建物で山小屋というより農村の古い民家の装いを凝らしていた。庭先には薪があっちこっちに整然と積まれている。

   山小屋としてはまだ新しい分野に属するかも知れない。
     主.米川岳樹氏の祖母つねのさんが亡き夫の遺志を継ぎ.女手1人で昭和29年に小屋を造ることを決意している。

   当時の八ヶ岳は原生林に覆われ登山道も整備されていなかったらしい。
     その後増築.改築を重ね.ランプと薪香る素朴な小屋として親しまれ.初夏には周りに黒百合が競い咲う。

   玄関前の細長い広場には座り心地よい大石が幾つも坐れるよう組まれている。
     陽射しが強く.その1ヶ所に陣取り.陽射しを避けては今回最後のコーヒータイムを取っている。

      黒百合平より下山
   明るい草原の黒百合平から緩やかな疎林の木道を下ると唐沢源流は苔むしたシラビソに囲まれた。歩き難い沢沿いの小径になる。
     陽を透さぬ木陰の磨石が積み重なり.満ちる湿けが下っていると実に心地よい。

   豊水期には冷たい水が湧いていると云う。渋ノ湯への分岐にでて小休止. 各々が最後のレモンを齧っている。
     木漏れ落ちるしっとりした落葉帯.「クリダケ」も多い。もう時期的には遅いらしいが椎茸のような色合いで.ぬくみがあり裏側は黄色い茸。
     この仲間の中ではやはりK先輩とSが茸狩りは上手い。生まれの土地柄かよく見付けている。

   唐沢の流水跡のゴーロ帯を行く。先の道は大きく南の山腹を絡め「クリダケ」を探し探し下る。
     岳樺の若木が茂る辺りでは梢越しに守屋山.南アルプスが見えると云う。
     自らボッカする黒百合ヒュッテの若主人と擦れ違い一言.二言.挨拶を交わしている。それも懐かしい風景に思えた。かなり荷を背負っていた。

   唐沢鉱泉の建物が見下ろせるともう直ぐだった。開けた二次林の針葉樹林帯は明るく.山腹を絡んで下れば唐沢を渡り林道終点にでる。
     広い林道の左手に源泉を見て唐沢鉱泉前にでる。ここは西天狗岳西尾根からの登山道とも合わさる所だった。
     トップはI先輩.K先輩に同期S.私の順でパーティはゆったりしたペースで乱れることもなく全コースを完走した。

   礼儀正しい下山・・唐沢鉱泉にて
    12:50唐沢鉱泉13:10=13:45jr茅野「あずさ21号」15:19=17:34新宿

   池田先輩の世話で風呂は無料に。八ヶ岳産の岩組と檜造りの広い湯殿に深い湯.体をゆっくり伸ばし山の汗を落す。
     加温しているが豊富な湯は「信玄の隠し湯」と呼ばれ.硫黄の臭いが幾らか鼻に付いた。
     赤岳鉱泉の湯とは比べようもないが昔からの山の湯と新たに造られた近代的な湯船.どちらも納得した湯になっている。

   宿では「ぬるめの湯」にゆっくり浸かることを勧めている。その源泉水は五色の湯を想い出させる温さ。
     浸かるのは足元だけにして沸かし湯に飛び込む。二酸化炭素冷鉱泉.生ビールと田舎ソバ@700

   I先輩の奥さんが茅野から我々を迎いに来られた。今日は原村で縄文祭が茅野商工会議所主催の大きなイベントが催されている。
     その間を取って送りに来て下さった。
     夏沢鉱泉と唐沢鉱泉との道が二分する所が三井の森別荘地, ここまでがダートの林道になっていた。

   jr茅野駅.連休で綴る指定券が確保できず.同じ列車で別々に乗車する。1.7.13号車と
     それ故K先輩からビールの差し入れを受け.茅野駅ホームで解散した。

      天候
   秋の移動性高気圧を巧く迎え好天に恵まれる。入山日前日まで2日半.降雨が続いていた。
     そして下山した翌日より1日半.東京は再び雨に叩かれた。

   山中では前日夜半の小雨も治まり.初日は晴。2日目は高気圧の南下で一時擬似荒天に見舞われるも好天となる。
     夜間は2日間よく星が煌き.下山して雲が湧き始めている。ただ山行中頂稜は風強し. 高層天気図.5日9時.6日9時.7日9時

     北八ヶ岳地形図.山行表
     美濃戸から赤岳鉱泉―赤岳から北上し硫黄山荘
     硫黄岳.天狗岳―中山峠から唐沢鉱泉・・jr茅野