・・都県界尾根とその周辺 奥多摩.奥秩父東部概念図

       真名井沢北稜
    2019年10月. jr鳩ノ巣から峰歩道を経て入川谷を横切りエビ小屋山南南西尾根―赤杭尾根から曲ケ谷沢を下り林道・県道‥清東橋bs
    2016年10月. 大丹波川・雁掛林道から雁掛ノ峰を経て川苔山肩―鋸尾根を南下しウスバ林道.ウスバ尾根南面下段の旧経路から川乗林道
    2020年07月. 清東橋bsから大丹波林道.44号鉄塔尾根を経て真名井沢ノ頭―赤杭尾根.赤杭山東尾根から越沢へ・・左岸道から上日向bs
    2009年12月. 清東橋bsから真名井北稜を経て陽溜りの曲ケ谷北峰―防火帯から鳥屋戸尾根に入り桂谷・川乗林道.日原街道を経てjr奥多摩
    2020年07月. 清東橋bsから大丹波林道.44号鉄塔尾根を経て新蔵指ノ丸・真名井沢ノ頭―赤杭尾根.赤杭山東尾根から越沢・真名井林道・左岸道

      2つの山行に分け.新秩父線鉄塔尾根を綴り.奥多摩から秩父へと都県界尾根を越える。長沢脊髄を跨ぐ2つの支尾根.真名井沢ノ頭北尾根と仙元尾根。
    前半の一日目は冬枯れの真名井沢北稜から防火帯の長沢脊稜を進み.真名井沢ノ頭.日向沢ノ峰.蕎麦粒山まで西進し.
    桂谷の枝沢の林道から川乗林道.日原街道と繋げ.jr奥多摩駅に降り終えている。 2009年12月29日.単独・・真名井沢ノ頭北尾根ルート


      真名井沢北稜から曲ヶ谷北峰・・新秩父線と連なる尾根
      横ケ谷平から蕎麦粒山から桂谷下降

     幼なじみの長塩が体を壊し.富士山撮影山行に続く丹沢主稜の山行は中止。
   急の知らせに心配を抱かせ1人で実行するには忍びず.場所を変更し.つるべ落としの師走に長沢脊稜を繋いで秩父に抜ける山行を思い付く。

     真名井沢北稜は大丹波川と支流の真名井沢を分けている尾根で.真名井沢の源頭(真名井沢ノ頭)を頭として.南東へ派生して赤杭尾根とを分けている。
   又真名井沢北稜を東へ下ると東南に転じて.大丹波川と真名井沢の出合で没している。標高差900m.尾根筋はほぼ雑木に覆われていた。
   又.下半分は送電線巡視路を含め.明瞭な道が付けられている。ただ巡視路標柱の他.道標はなく.やや不明瞭な点があり。

     先週大岳山から望んだ川苔山の奥. 蕎麦粒山を真名井北稜から送電線を目指し.送電線新秩父線の鉄塔尾根を綴ることにした。
   そして二度に分け.蕎麦粒山から長沢脊稜を越え.仙元尾根の新秩父線の鉄塔尾根と繋げながら綴り.秩父に降りる。

     真名井沢北稜は赤杭尾根の真名井ノ頭に尖き上げる尾根で標高差は900m. 尾根筋はほぼ雑木林に覆われていた。
   前半の鉄塔巡視路から明瞭な踏み跡が付けられていた。下りは蕎麦粒山から日没との競争になっている。

     14時に下山せねば日没が迫り待っている。猟師と出ってから下山の計算ができ心細さは薄れたものの.桂谷を下りjr奥多摩駅まで3時間の長い林道.
   街道歩きが最後に残されていた。単調な林道歩きは如何にか黄昏時に奥多摩駅に下りることができた。
   そして次回の年越しの山行は更に送電線尾根を綴ることになる。秩父側の仙元峠に立ち.仙元尾根から浦山へと結ぶ鉄塔巡視路を歩む。

    新秩父線
     今年の初めは相州大山北尾根を歩き.送電線新多摩線沿いの山々を知り.巡視路に関心を持ち始めるようなった。
   三峰.鍋嵐周辺の経路を歩き回っていた。その新多摩線は秦野変電所から五日市にある新多摩変電所と結ばれ.
   変電所からはもう1つの接続先として.新秩父線が新山梨開閉所と結ばれていた。

     その送電線の経路は高水の惣岳山の南裾を回り込み.真名井沢北尾根を駆け上がって都県界尾根を跨ぎ秩父へ抜けている。
   このルート沿いを探るには鉄塔尾根を追い続け.蕎麦粒山へのアプローチとして真名井沢北尾根から入山した。

     真名井沢ノ頭北尾根(真名井沢北稜)
     真名井沢ノ頭北尾根は赤杭尾根の1つのコブである真名井沢ノ頭から東方へ派出し上日向辺りまで続く尾根。数多く鉄塔が建つ鉄塔尾根で.
   枝尾根と共に綴られた先は次の山行で蕎麦粒山から仙元尾根の巡視路を辿ることにした。川苔山から日向沢ノ峰へと連なる都県界尾根を辿り.
   蕎麦粒山に立ち秩父の山々へと連ねる仙元尾根をこの目で見届けてから下山しようと思っている。

     12月29日快晴
       jr御徒町4:49=神田5:00=5:45国立6:09=6:29青梅:50=7:15川井.西東京バス¥250. :30=7:44終点清東橋.
    真名井沢流域
   名坂峠北側.逆川ノ丸付近より・・2010.04.18/13:33

     川苔山は頂点として左側の赤杭尾根と右側の真名井沢北稜に取り囲まれ.間に流れる真名井沢は足元に横切る大丹波川へ流れ込んでいる。。
   中央の赤杭尾根の名井沢ノ頭で北稜が合わさり.左奥には川苔山が聳える。右奥は霞む都県界尾根は日向沢ノ頭.長尾ノ丸と奥武蔵山域。

     境界尾根を登る新秩父線は赤杭(あかぐな)尾根末端にある三ノ戸山の支尾根に乗る38号鉄塔から真名井沢を跨ぎ.
   真名井北稜末端にある39号鉄塔に架かり.共に両鉄塔の送電線が画像下に霞むも望まれた。

     送電線は真名井北稜の尾根筋を上り詰め都県尾根の有間山稜を越えている。先は蕎麦粒山北尾根から仙元峠仙元尾根を綴り.
   秩父さくら湖の新秩父開閉所と結ばれている。年越えに続く山行は年明けに鳥屋戸尾根から仙元尾根を繋ぎ秩父へでる。

    大丹波川沿いの北側から見た真名井沢北稜
   末端に建つ新秩父線39号鉄塔を見上げながら戻っている.7:42

      送電線
       電車が奥多摩線の御嶽駅ホームに入線する直ぐ真近で送電線新秩父線の架線が.御嶽駅から仰ぐ高雲の随分高い所に架かっていた。
     気にしていなければ分からず通り過ぎてしまうだろう。今回はこの巨大な超高圧500KW送電線沿いに鉄塔尾根を詰める。

       電車が御嶽駅を過ぎると惣岳山の南麓を巻きながら多摩川を遡り.大丹波川出合左岸の少し高みの台地にあるjr川井駅に下車した。
     小さな無人駅.野ざらしのホームに.これ又小さな待合室がある。ホームの北側の改札の丸みを帯びた石段からは
     赤杭尾根の末端に架かる新秩父線の幾つもの鉄塔が眺められていた。その見えぬ先に.これから目指す真名井沢北稜が綴られている。

       階段を降り南側の線路下のガードを潜り青梅街道にでて.右に折れれば直ぐ大丹波川を渡る角に大正橋が架かり.
     渡った西詰角が川井バス停。定刻に現われた奥多摩駅発.清東橋行の路線バスに乗客はいなかった。ここで私を含め3人が乗車した。

       20年前になるがこの大丹波川沿いの上流にある国際ニジマス釣場のキャンプ場に家族全員が現地集合の形で電車とマイカーで出向きキャンプした。
     バスの車窓から覗くも地形的には似た感じを受けるが殆どが忘れてしまったたキャンプ場。
     路線バスからはマイクで「国際ニジマスキャンプ場」の名が響き.懐かしく思い出させていた。

       車内放送は雑音が多く下車する上日向バス停が聞き取れず.通り過ぎ終点清東橋に3人が降りている。
     もう1人のハイカーは蕨山から河又へ抜けると云い過ぎ去った。私は往路のバス路線を真名井北稜の取付きまで.大丹波道を大丹波川沿いに回り込み
     真名井沢出合まで戻っている。

       途中で登るべき真名井北稜に建つ送電線鉄塔群が見上げられた。頭上には真冬の蒼空が広がりを見せている。
     今朝はそれほど冷え込みはなく.ひんやりした朝の空気が心地よい。

       真名井北稜
     清東橋から戻る一7:55真名井沢橋.真名井沢林道一8:00取り付き.巡視路一8:15尾根上一8:25(40号鉄塔)一8:40(41号鉄塔)
     一9:10伐採帯上部:20一9:40(941m地点43号鉄塔へ至る棒抗)一10:00(1002m地点)一10:30(1168m地点)
     一10:45真名井沢ノ頭一10:10曲ヶ谷北峰分岐:20.

     尾根に乗る.8:11
    東電巡視路取り付き.7:54          39号と40号鉄塔との鞍部を詰める

     林道真名井線は奥多摩川の出合.川井から2つ目の林道で.左手手前に短い林道蝉沢線の起点が見られた。
   真名井沢林道は真名井北稜と赤杭尾根(あかぐな)の間に挟まれた.真名井沢沿いを遡る林道で全線ダート。

     入山
     路線バスの往路を大丹波川真名井橋の東詰.上日向まで戻っている。。真名井橋で右岸に渡る旧道との分岐がる。
   旧道を道なりに直進すると先程バスで通過した都道の北側橋手前の標高304m点の分岐の戻る感じで再び合わさる。

     又旧道に入って直ぐ右の山道を折れれた所が.林道真名井線の起点になる。
   真名井沢に架かる橋を渡ると菱型の黄色い林道標柱が左脇に立つ。「真名井林道.幅員4m」とある。そこから6分ほど歩く取付きにでる。
   右手に「新秩父線39号に至る」東電立川支部の黄色いL字の標柱を見ている。又裏側に「39号に至る」とあった。

     標柱の南表には「38号に至る」と記されてをり.38号鉄塔は真名井沢の対岸の赤杭尾根末端側の鉄塔で.
   林道を下った大丹波川沿いにも都道に取り付きの標柱があった。里道を跨いでの巡視路だった。

     確認し右手の杉林の南斜面を綴る確りした巡視路を辿る。左脇の立木には木の屋号「一のト」と記され.踏み跡が合わさり.
   小さな尾根を越えるとひと汗掻き北稜に乗る。鞍部には白く大き目の四角い標柱に「右に39号.左40号に至る」とある。
   40号鉄塔はバス終点から戻った時に見上げた鉄塔。

     真名井沢北稜                         尾根の真上を送電線が走る
    
    尾根末端の鉄塔巡視路.8:26                    初めて基部に立った新秩父線40号鉄塔.8:34

     取付きから30分程で550m地点に建つ40号鉄塔の基部にでる。覆い被さる裸林の絡みから左手を覗き込むとどっしりした赤杭尾根が
   長く尾根を連ね.再び樹林に被われ隠れるよう見えなくなっていた。

    赤杭山(笹平峰).923.5m三角点峰
   聳え立つ赤杭尾根.8:45

     緩い登りが尾根伝いに続き.640m地点では41号鉄塔基部を抜け.露岩から惣岳山710mの南側頂縁を抜けると720mで42号鉄塔が建つ。
   ここで新秩父線は北稜の主尾根から右支尾根へと離れ.曲ヶ谷沢右岸尾根を跨ぎ.都県界尾根を越え秩父へと抜けている。

     尾根筋の右側は杉林.左が雑木の林相でその境に朝陽が照り付け.足元にはカラカラの枯葉が積み重ねられていた。
   東京では雨降るも.この2.3日地元では降らなかったらしい。軽アイゼンを持参したが必要としない踏み跡が続いている。

     40号・41号鉄塔周辺は視界が林の茂みで閉ざされている。
   登り始めて1時間.主尾根の乗る最後の42号鉄塔を過ぎると左手に大規模な伐採跡地が開かれた。

    赤杭尾根末端
   遠方は市界尾根・・日の出山と御岳山.9:08
    頭窓山南峰.北峰と中央が左化に延びる三ノ戸山南東尾根(蝉沢左岸尾根). 手前は赤杭山東尾根で2度.真名井林道を横切っている。

    岩茸石山と惣岳山神塚尾根
   伐採地跡から真名井沢下流の山並.9:25

     真名井沢北稜と赤杭尾根末端
   下流向い側に高水三山の岩茸石山から惣岳山へと連なる山並みが見渡された。岩茸石山から細かく起伏する馬仏山723m・逆川ノ丸と惣岳山。
   馬仏山(まほとけ)723mの直ぐ南の710mの小コブは大きく神塚尾根を取り囲むようあり.その外側を沼沢尾根が回り込み.川井駅付近に落ちている。

     逆川ノ丸からは先に真名井沢全流域の写真を撮った場所になる。惣岳山から右尾根は綺麗な曲線を描き丹縄に下りる神塚尾根。
   裏側に重なる尾根はjr御岳に下る登山道の関東ふれあい道。31号鉄塔が建つ。逆川ノ丸から左に小コブを越したコブから
   右下に延びるのが輪光院ツガ尾根.途中で合わさる正面が栗ノ沢右岸尾根になる。

     伐採地から綴ってきた真名井沢ノ頭北尾根を綴るのは42号〜39号鉄塔群。44号鉄塔は伐採地直ぐ上の北側の枝尾根に建てられていた。
   谷間右手の赤杭尾根末端から真名井沢を跨ぐ送電線は38号と37号鉄塔。・・赤杭山東尾根から望む送電線群

    鉄塔尾根
     伐採地の常縁樹の切株に腰を降ろし.登ってきた北稜を振り返る。送電線鉄塔が4本.尾根筋に綺麗に並び連ねている。
   見渡す周りが高みの山並の中.私だけが伐採地を独り占めしていた。鉄塔尾根としての雰囲気は申し分ない。鉄塔マニアには素晴らしい風景だろう。

     左端の42号鉄塔からの送電線は真名井北稜末端の39号鉄塔まで枝尾根伝いに繋がれ.真名井沢を跨いだ右上の赤杭尾根末端へと綴られている。
   赤杭尾根末端は三ノ戸山から736m峰の下にある38〜35号の4基の鉄塔で横断し.惣岳山に建つ鉄塔へと続く。

     その先は大丹波川出合付近を跨ぎ.沼沢尾根の34号鉄塔から神塚尾根の33号鉄塔へと繋げ.惣岳山の南麓を回り込んでいる。
   御嶽駅付近を抜ける市界尾根を越えれば五日市の新多摩変電所と繋がれる。

     真名井という名は大丹波川を隔てた高水三山の惣岳山直下に真名井ノ井戸(井戸窪)と同名の地名があった。
   どんな因果関係があるかは判らない。又この尾根には赤杭尾根末端から綴る送電線はそれらの尾根群を横断する。・・周辺の送電線図

     北側を綴る同送電線は真名井北稜の枝尾根.曲ケ谷沢右岸尾根46号鉄塔から離れ.都県界尾根に建つ50号鉄塔を越え
   日向沢ノ峰(ひなたさわのうら)東の尾根からは仙元尾根を下り.秩父小鹿野の新秩父開閉所に結ばれ次回に続で綴るルートになる。
   本送電線は新多摩変電所間49kmを結ぶ500KV外輪系の送電線の1つで西側を構成され.我が国初の6導体架線送電線。s55年竣工.

   新多摩変電所の送電線と接続先
     新秩父線500KV.  新多摩変電所(八王子市上川町)〜新秩父開閉所(埼玉県小鹿野)
     新所沢線500KV8基新多摩変電所〜新所沢変電所
     新多摩線500KV1基新多摩変電所〜新秦野変電所
     青梅線275KVA5基 新多摩変電所〜青梅変電所
       (黒部幹線,旧西東京幹線の流用路線.新多摩線へと連結されている。)

   今年の初めにこの送電線に繋がる新奥多摩線.東丹沢周辺を初めて歩きだしていた。
     鉄塔を見詰めつつ歩んだ山々になる。蛭と藪多い経路.巡視路.踏み跡が尾根という尾根の何処にも付けられていた。

    海老小屋山と真名井沢ノ頭.雁掛ノ峰
   右景・・広く開かれた伐採地の急登より.9:05

     海老小屋山1147mの別名は海老小屋沢ノ頭.三道山.クマタカ山.又布滝沢の源頭にあることから布滝沢ノ頭.布滝ノ峰と呼ばれている。
   又裏側の南面には入川谷に巨大な採石場がある。

     漸く陽が当るようなった。広い伐採帯の斜面には針葉樹林の幼木が植えられ.鹿除けの網でカバーが付けられていた。
   多分鹿害の為だろう。ひと苗木毎に網の筒で丁寧に保護されている。

     淡い木洩れ日の尾根が切れ伐採地にでて.遮るもののない日差しを目一杯浴びている。また天空も雲1つない蒼空に変わっていた。
   暖かい陽溜りが恋しく1本取った。風もなく切株に腰を降ろすとポカポカに体を暖めている。冷たいお茶も飲む美味さ.
   改めて云う言葉ではないがお日様のありがたさを痛感させられている。

    桃ノ木平・・右端が957m点コブ
   左景・・北山腹を横切るのが真名井林道.9:10

     左手対岸には真名井沢林道が荒々しく山肌に刻み込まれる赤杭尾根(桃ノ木平)の北斜面が望まれる。
   見ていても痛々しく赤杭山北面山腹を大きく刻む林道は大きZ字を描きながら957m点コフとの鞍部へと登り.終点は尾根上になる。
   又赤杭山の裏側には巨大な採石場があり.これまた多きく山腹を抉り落している。

    巡視路鉄塔尾根ヘ
   次第に踏み跡は自然林の枯葉に隠されるようなる.9:29

    雁掛ノ峰1168n峰
   伐採地を抜け山径らしくなる.9:42

     伐採帯の上部を登り切ると再び鉄塔の「先43号.手前42号」の巡視路標柱が立てられていた。
   42号鉄塔から送電線は北稜を離れ.北側の支尾根を渡り渡り連ね.都県境界尾根へ登っている。

     そこを過ぎると尾根道は落葉松林の中に綴られ.鉄塔巡視路から外れたせいか踏み跡は細くなり.ルートは尾根の北側を絡むようなる。
   やや枝木が目線に張り出し.まだ冬越えせぬ真新しく付けられた赤布のマーキングが時折目立ち眺められた。

     2つ目の「43号鉄塔へ至る」の東電標柱の小さな鞍部にでたのが10時。傾斜も増し落葉重なる急斜面に息が上がる。
   短いながら霜柱が氷り付き歩き難くなる。巡視路が途切れると藪絡みも現れ踏み跡らしくなった。
   ただ樹林を潜り続けるほどの密林でもないがペースはやや落ちている。

   漸く踏み跡らしき径に.9:49

     尾根を被う雑木の自然林に心が和まされている。況して木洩れ日の漏れ溢れる程好い茂みが先へと続いていた。
   ここは焦ることなくゆっくり足を運ぶに限る。視界は遠ざけられたが冬枯れの踏み跡を探し綴るのがよい。

    正面に真名井沢ノ峰を仰ぐ
   新蔵指ノ丸(しんぞうざすのまる.1002m点)を越え.10:01

     新蔵指ノ丸からは灌木に覆われ展望はなくなっている。右下の北東に延びる支尾に根は直ぐ先で44号・45号鉄塔尾根を2つに分けている。
   北稜の尾根筋は南側を巻き.そこを過ぎると集中して付けられた赤テープのマーキングを見てもいた。

     ただ下る場合は北側の支尾根ばかり気にしているとこの赤テープに惑わされ.真名井沢側へ下る恐れがあり注意。
   その為のマーキングでもあるのだろう。マーキングの多さに気が付けば大丈夫。尾根筋の少し先を見極めさえすればよかった。

   短いがやや痩せた露岩状の尾根.右下が大丹波川曲ケ谷沢.10:27

     雁掛ノ峰(カリカケノウラ1168m標点)からは更に満る樹林に囲まれ展望はない。右下から曲り尾根が登り合わさると
   以外と確り踏み跡になる。この尾根の半ばに送電線46号鉄塔があり.北稜最後の巡視路が付けられていた。

     巡視路から先は尾根末端まで作業道が綴られている。両側から大丹波川へ踏み跡あり。
   又大丹波川の曲ケ谷やカワラゴヤ沢(雁掛沢)沿いには下流からも.巡視路を兼ねた作業道(雁掛林道)が少し荒れ気味だが綴られている。

     ここからは枝木を透し送電線の電線が五線譜のよう真近に見え陽光に反射し煌いている。
   灌木のジャングルを尾根伝いに南西に抜け.鉄塔分岐から北側の曲り尾根に入り込まぬよう気を付ける。
   登りの場合は踏み跡を失っても高みを意識して高度を稼げばよかった。

    日向沢ノ峰と桂谷ノ峰
   真名井沢ノ峰を前にして.10:29
    これから赤杭尾根にでて.大丹波川の源流を回り込み.長沢背稜(都県界尾根)の山々へ回り込む。

                                 真名井沢ノ峰
    
    各小コブに目立つ東電の三角標石.10:36             登ってきた尾根の頂点.手前三角点に東電のマークあり.10:44

     真名井沢ノ峰(キワダクボノ峰)
     傾斜が落ちると穏やかになり.更に幅広くなった尾根筋は藪の絡みは殆どなくなった。小さなコブとコブに乗る三角点標を追う。
   確りした踏み跡は,右斜面が二重山稜的な穏やかな山腹になると3時間弱で曲り尾根の頭とも云うべき真名井沢ノ頭1250mにでた。
   川苔山から延びる赤杭尾根に乗ったことになる。

     「真名井沢ノ頭」と示した古い手製の板片が立木にぶる下がっていた。
   ここは緩やかな起伏の上.南斜面は杉林の黒木で薄暗く.登ってきた北側の明るい雑木とを分けている。
   その小コブ裏側には赤杭尾根を綴る登山道が横切り.「川苔山と赤杭山」を指す道標が立てられその裏側にでている。

     真名井沢北稜は昭和57年2月.新ハイキング誌上にHのガイド記事が載せられた。その後.この名がささやかれ昨今は「真名井北稜」で通ってもいる。
   赤杭尾根(あかくな)は川苔山から曲ケ谷北峰・南峰を経て真名井川北稜を北側に分け.多摩川の大丹波川出合に没する尾根。

     一昨年.再び山登りを始め40年振りに奥多摩駅に出向いている。過っては日帰り山行は殆どなく.奥多摩の山々は私には未知の山域に近かった。
   地図も持たず川苔山に登り.展望はよく奥多摩三山を名指しで教えてもらっている。又東の肩で「鳩ノ巣駅・川井駅」の道標を見付けていた。

     その折「川井駅」の脇に確か「赤杭尾根」と示されていたと思う。鳩ノ巣の名に惹かれ下りたが「赤杭尾根」と初めて知ったのもこの時だった。
   それからは紀行文を読み漁り.地図と睨めっこする日々が続き奥多摩の山に入るようなった。

    赤杭尾根
   赤杭尾根の防火帯に乗る.11:27
    左側が峰入川谷キワダクボ.右側が大丹波川曲ケ谷沢にになる

     真名井沢ノ頭は赤杭尾根から派出する尾根の頭で.上部からの防火帯が途切れる所だった。
   赤杭尾根の登山道は真名井沢ノ頭を南側に巻き.樹林帯の境に綴られている。

     改めて赤杭尾根に入り.広くなった緩やかな防火帯を綴っている。草径崩れの赤土で時にはぬかるんだ所もあり.
   少したわんだ所では右手の曲ヶ谷側からは確りした踏み跡と合わさっていた。

     直ぐ狼住所(おおかみすんど)の分岐にでる。狭い距離に分岐が絡み合っているよう思える。
   「獅子口.大丹波下山路.古里駅赤杭口.本仁田山鳩の巣駅ノ分岐.」と道標が立ち各々の分岐を示していた。

   川苔山と横ケ谷源流
  
   横ケ谷平を左に折れれば川苔山. 大きく囲む山並が長沢脊稜越えれば秩父へ・・11:05

    横ケ谷平.大休止
     登り切った1320m地点で防火帯は終わっていた。直進し北西入ると小径に変わり.灌木絡みの径を辿ると
   間もなく曲ケ谷ノ峰(南峰)にでる。下って直ぐコルからはヨウヘイギノ頭(曲ヶ谷ノ峰北峰)1286mを左に巻き込めば横ケ谷平にでられた。

     「でる!」と云う言葉通り.被っていた茂みが扉を開くが如く切れ.川乗谷上流の横ケ谷が足元に落ちる場所。
   向かいには日原川上流・源流の山々が大きな支尾根を幾つも抱き重なり開かれていた。ここで大休止した。

     奥多摩西側の山々
     再び現われた防火帯から飛び出した眺望は突然今まで見られなかった山々の視界が開け.日原川上流左岸流域の異なる思いもよらぬ風景が開かれた。
   最奥にあたる奥多摩西北部の山々が飛びだしてきた。一昨年.川苔山の頂では樹間の切れ目から望んだ山波に拡大するパノラマを見せていた。

     川苔山が左肩に大きく聳え.冬木を透し日原川流域の山々が谷間を挟む.幾つもの河川が山並にも重なり合っている。
   中央頂点に立つ雲取山からは秩父と奥多摩の境界尾根.長沢脊稜が大きな囲いとなり.手前の蕎麦粒山へと綴られていた。

     これらの山々は又多くの支尾根を日原川へ落している。下山予定の鳥屋戸尾根(とやど)や棒杭尾根(ぼうぐな).ヨコスズ尾根.ハンギョと。
   重なり合う尾根の山波は遠く雲取山の頭までヴァティー型に築かれ描かれていた。

     休んだ足元はちょうど陽射しと日陰との明暗をも創っている線と云うか所だった。静かな山波の1点.道標の脇に腰を降ろしている。
   今日は時間のロスを考えテルモスを持参した。まだ熱い紅茶が湯を上げている。妻作のサンドイッチに善哉.蜜柑と定番だが複雑に混ざり合う遅い昼食を摂る。

     まだ他のハイカーとも擦れ違うこともなく静かな私だけの山旅を味わっている。
   食後の今日3本目の煙草.日向にただずめば風もなく.今日も紫煙は緩やかに昇っている。

     真名井沢北稜から曲ヶ谷北峰・・新秩父線と連なる尾根
     横ケ谷平から蕎麦粒山桂谷下降・・林道.街道